乃木坂46 スカウトマン 評判記

「スカウトマン」
歌詞について、
現実と虚構つまり日常と非日常の境界線を曖昧にすることによってはじめて、今作『スカウトマン』に記されたような詩情に詩的責任を伴う「意味」がうまれるはずだが、この楽曲に限って云えば、フィクションの内にリアリティーをまったく感じない。スカウトマン、という役割に抑えきれず自己投影してしまう人間がはたしてどれだけ存在するだろうか、という疑問の発生、これを食い止めるだけの力が備わっていない。映画のなかで、携帯電話を片手に持った主人公が交差点を闊歩しながらスカウトマンを振り払うような、ありきたりな光景を、ありきたりな想像力で再現をした、ただそれだけの世界観におもう。『スカウトマン』というタイトルを付した楽曲をアイドルに歌わせる、という所業のなかに、期待した悪徳さを感じることもなかった。総じて、企みが浅い。
ミュージックビデオについて、
どうしようもなく、救う価値もない楽曲を目の前にして、孤軍奮闘した感がある。あるが、冒頭のシーンによって生まれたテンポの良さがダンスシーンに移った瞬間、すべてぶち壊しにされてしまう。ありきたりの模倣品、と評価するのが妥当。
総合評価 26点
聴いていることは秘密にした方がいい作品
(評価内訳)
楽曲 3点 歌詞 4点
ボーカル 7点 ライブ・映像 9点
情動感染 3点
歌唱メンバー:伊藤かりん、伊藤純奈、相楽伊織、佐々木琴子、新内眞衣、鈴木絢音、寺田蘭世、堀未央奈、山崎怜奈、渡辺みり愛
作詞:秋元康 作曲:SaSA 編曲:SaSA