日向坂46 月と星が踊るMidnight 評判記

日向坂46(けやき坂46), 楽曲

(C)月と星が踊るMidnight ジャケット写真

「月と星が踊る」

歌詞、楽曲、ミュージックビデオについて、

日向坂46の8枚目シングル。センターは齊藤京子。
流浪、のイメージを描き打ち出している。緑と青の止揚、という楽曲のコンセプト、テーマ、色づかいには他のグループにはない独自なものを感受するが、結局それが折衷でしかありえない、という感慨に落ち込んでしまうのはなぜだろう。緑と青を背景にしたアーティスト写真・ジャケット写真を映し出したあとに、それが赤や黄色の、色とりどりの模様の一部分でしかない、という色彩の広がり=可能性の余白を描いているが、結局それがどのイロにもなりきれない、と確信させるのはなぜだろうか。
タイトルにも迷いがある。冗長に感じる。これならば、月と星が踊る、で良かったのではないか。
やはりここでも気になるのは、どうしても小坂菜緒に注目してしまう、小坂菜緒にしか注目できない、という点であり、小坂菜緒というアイドルに冠絶したもの、白眉を見出した作り手がその価値を守るために彼女を主役から外し緊張感をほぐすという、「アイドル」の延命措置の途方もなさ、価値を守るための手段がセンター起用ではなくバイプレーヤーへの落とし込みであるという矛盾には呆れ返るばかりなのだが、そうした作り手の思惟の錯綜、端的に言えば、自ら芸術性を遠ざける姿勢が作品に投影され、弱々しくふらふらとしたものに堕しているのかもしれないし、より一層、小坂菜緒への注目度を高めるという皮肉をまねいている。
質の高い作品をつくろうと考えるとき、人材難に陥った現在の日向坂においては「小坂菜緒」をセンターから外すという選択はまずありえないと思うのだが。高い才能を有した人間のその存在感をして、屈服し影に隠れてしまった平凡な人間にあえて光をあてたり、労に報いたりすることでグループに多様性が出ると考えているのならば、大きな勘違いだろう。センターには才能豊かな人間しか立てない、選ばれない、はずだし、この価値観を守らなければ、グループの価値は引き下げられてしまう。小坂菜緒を護るための手段、妥協策としてセンターに登用される平凡なアイドルたち、という視点で眺めると、なんともお気の毒としか言えないのだが。

作品全体を通し資金力の豊富さがうかがえデオドラントだけれど、構図が散漫で、とくに目新しい部分もない。その意味では今日の日向坂46というグループの特色をよく現している、と云えるかもしれない。


歌唱メンバー:齊藤京子、加藤史帆、小坂菜緒、富田鈴花、濱岸ひより、上村ひなの、河田陽菜、松田好花、金村美玖、佐々木美玲、影山優佳、潮紗理菜、高瀬愛奈、高本彩花、丹生明里、東村芽依、山口陽世、森本茉莉、髙橋未来虹、佐々木久美

作詞:秋元康 作曲:Masafumi Okamoto 編曲:TomoLow