乃木坂46 さ~ゆ~Ready? 評判記

「さ~ゆ~Ready?」
歌詞、楽曲について、
松村沙友理の卒業ソング。
アイドルの卒業に向けた詩作を試みるとき、「アイドル」とはあくまでもほんとうの夢をつかむための掛け橋に過ぎない、という一貫した姿勢を作詞家・秋元康は崩さない。今作においてもそれは徹底されており、タイトルにもはっきりとあらわれている。
ただ、これまでに企画された、松村沙友理を主役に置いた作品と比較すると、「松村沙友理」への写実が希薄に感じる。卒業ソングだから配慮してしまったのだろうか。卒業ソングこそ私情を爆発させるべきだとおもうが。
また、『曖昧』で感じたような、演者であるアイドルが楽曲制作の深い部分に斬り込んでいるのではないか、と想像させる作家性も今作からは受け取らない。
ミュージックビデオについて、
3名の映像作家によるコラボ作品ということで、アンソロジーのようなおもむきを持っている。豪華な制作陣による、豪華な作品、といった印象。
松村沙友理というアイドルの物語を振り返れば、『何度目の青空か?』までを前期、『悲しみの忘れ方』から『ひと夏の長さより…』までを中期とし、それ以降の独走体勢を後期と振り分けることが可能であり、そのようなアイドルの構成が、(意図したものなのかはわからないが)作品の構図にうまく落とし込まれているように見える。アイドルの卒業に際し、これだけ豪華なメンバーが集合したわけだから、アイドル本人がまわりから愛されている、一緒に仕事をしたいとおもわせる魅力がある、ということなのだろう。そういう意味では、やはり松村沙友理は天性のアイドルと呼べるかもしれない。
総合評価 58点
聴く価値がある作品
(評価内訳)
楽曲 11点 歌詞 12点
ボーカル 11点 ライブ・映像 12点
情動感染 12点
歌唱メンバー:松村沙友理
作詞:秋元康 作曲: Masayoshi Kawabata 編曲:Masayoshi Kawabata