SKE48 出口陽 評価

SKE48

出口陽 (C) entamenext

「想像では埋められない 旅の途中」

出口陽、昭和63年生、AKB48の第四期生であり、SKE48の第一期生。
AKB48の第四期生としてアイドルの扉をひらくものの、わずか6ヶ月という短い時間のなかで身も心もボロボロになり、岐路に立たされた少女は学業を理由に文芸の世界から現実の世界へ、旅立ちを決心する。だが、その半年後、大事な忘れ物に気付いたかのように少女はSKE48のオープニングメンバーとして再び文芸の世界に姿を現す。一度消した青春の焔とは、再びそれに火を灯しても、結局、あたらしい情熱は長続きせずに減衰し途切れてしまうものだが、出口陽の場合、もう一度灯した火はどのような風に吹かれても、けして消えることはなかった。SKE48の一員として書いたアイドルの物語は6年間と厚い。

さっぱりした気性を持ち、かつ、良心的な人物だが、彼女のアイドルの物語そのものは平坦とは云えず、むしろ屈託に満ちている。理想と安易に口に出すのを躊躇する、人間性の貧しさを夢への余白にすり替える、力強い生彩を持ったアイドルで、献身に支えられた仲間との絆も深く、とくに松村香織、金子栞とはグループアイドル特有の稚気を描き、話題を共有しながら歩むアイドルの物語は、互いのファンとの距離を縮めることに成功している。やや紋切り型で、退屈な想像力に頼った産物にみえるものの、文芸の世界の熾烈さ、ひたすら明けては暮れるくすんだ生活の匂いを縦横に語っており、そこに描出される凡庸さを前に、ファンがみずからアイドルの姿形に自身の生活を重ねあわせるといった、憐れみの共有を見事に成し遂げている。

だが、出口陽、このアイドルの存在がグループの歴史の進展になんらかの作用を及ぼしたのか、問うならば、つかめるのは空疎だけだ。6年間というアイドル生活のなかで、彼女が表題曲の歌唱メンバーに選抜された回数はたったの1回、それもデビューシングル「強き者よ」における選抜であり、厳密には、順位闘争の末につかんだ「選抜」とは云えない。総選挙イベントにおいても結果はすべて「圏外」と、実りある物語は降ってこない。もちろん、この痩せた物語はアイドルを作る土壌、つまり境遇に左右されたものではなく、彼女が書くアイドルの生来の平凡さに因るものだ。おそらく、彼女の平凡さをもっとも明徴に提示しているのが、彼女の「得物」でもある「歌」だ。たしかに、歌唱力自体は群を抜いているようにみえる。みえるが、彼女の生まれ持った声には、心を揺さぶられ、情動を引き起こされるような希求力がない。あるいは、歌い手の情動を防ぎようがなく飲み込まされるような迫力、メランコリックやフラジャイルなど、屈託を破砕する幅広い活力のもとに発せられる感興がない。つまり観衆をとりこにするような魅力を感じず、想像では埋めようのない疵がある。また、SKE48の正規メンバーとして眺めた際、ダンスパフォーマンスに物足りなさも感じる。総じて、歌手を夢見て、歌手に成るためにアイドルを卒業した出口陽だが、そのライブ表現力は平均的と評価するのが妥当に感じる。この、アイドルがみずからシーンを生き抜くための「得物」としてつよく掲げたものが、いざ蓋を開けてみたら大して魅力的ではなかった、という失望感の存在に出口陽の平凡さを確信してしまうのだ。

 

総合評価 50点

問題なくアイドルと呼べる人物

(評価内訳)

ビジュアル 6点 ライブ表現 11点

演劇表現 7点 バラエティ 13点

情動感染 13点

AKB48 活動期間 2007年~2007年
SKE48 活動期間 2008年~2014年

引用:見出し 秋元康 / 万華鏡

 

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