僕が見たかった青空 吉本此那 評判記

「デタッチメント・アイドル」
吉本此那、平成17年生、僕が見たかった青空の第一期生。
たとえば『あの日 僕たちは泣いていた』における一連の表情が顕著だが、いわゆるデタッチメントに活きるアイドルである。笑顔、落涙という場面展開に描き出される少女たちの和にあって、吉本はその情動から切り離されている。勘違いしてはならないが、彼女が無関心だったり無感動に見える場面にアイドルとしての魅力があると言っているのではない。デタッチメントというのは要するに、感情の内奥の複雑さを表現する最後の手段なのであり、笑顔であってさえも、むしろそれが無関心・無感動の発揮に見えてしまうのであれば、これ以上に想像を誘う、ミステリアスなアイドルはいないということになる。人気、不人気の境目というグループの眼前の問題に落ち込むことなく、カメラの前で遠くを見つめるように佇んでいる彼女の姿、瞳のむきは、非常に神秘的である。
しかし吉本此那をもっとも神秘的に映しているのは、彼女の生まれ持った美にほかならないだろう。乃木坂46に対してどうなのか、問われつづけるグループにあって、既存のアイドル・イメージに短絡的に立ち向かうでもなく、既存のアイドルを戦略的に模倣するのでもなく、一貫して自己を見失わず、堂々として、自分でありつづけることができるのは、彼女が真に美しいからに相違ない。都会の風に吹きつけられたと言うよりも、アイドルを演じるという行為のなかで引き締められたその氷質に澄んだ美貌は、つねに考究の余地を残している。美貌というものは、考えるまでもなく、そこにただ強烈な魅力として在るものである。その「考えるまでもない」という事態が乃木坂46の強みであるのならば、吉本此那は、唯一、それに正面から拮抗することのできる存在だとみなせる。
総合評価 70点
アイドルとして豊穣な物語を提供できる人物
(評価内訳)
ビジュアル 15点 ライブ表現 13点
演劇表現 14点 バラエティ 15点
情動感染 13点
僕が見たかった青空 活動期間 2023年~


