僕が見たかった青空 吉本此那 評判記

僕が見たかった青空

(C)吉本此那 インスタグラム公式アカウント

「デタッチメント・アイドル」

吉本此那、平成17年生、僕が見たかった青空の第一期生。
たとえば『あの日 僕たちは泣いていた』における一連の表現を見てわかるとおり、いわゆるデタッチメントに活きるアイドルだと云えるだろう。音楽の場面場面に描き出される少女たちの和にあって、吉本がその情動から離れた場所に立って見えるのは、彼女が無関心・無感動なのではなくて、そう見える状態こそが、彼女流の自己表現だとみなすべきだろう。デタッチメントというのは要するに、感情表現のあらゆる手段が出尽くしたかに思われた矢先に生まれた、既存の手段では表現できなかった感情を表すための最後の手段と呼べるはずだが、そうした表現に「アイドル」をとおして図らずも達してしまうという点に吉本此那のおもしろさがある。人気、不人気の境目というグループの眼前の問題に落ち込むことなく、カメラの前で、笑うにしても、泣くにしても、睨みつけるにしても、いずれも心が一段高い場所にあって、遠くから佇んでいるように見える彼女の姿、瞳のむきは、非常に神秘的である。
優れた美貌の持ち主でもある。乃木坂46に対してどうなのか、問われつづけるグループにあって、既存のアイドル・イメージに短絡的に立ち向かうでもなく、既存のアイドルを戦略的に模倣するのでもなく、一貫して自己を見失わず、堂々として、自分でありつづけることができるのは、デタッチメントであるのはもちろん、彼女が生来的に真に美しいからに相違ない。都会の風に吹きつけられたと言うよりも、アイドルを演じるという行為のなかで引き締められたかに見えるその氷質に澄んだ美貌は、つねに考究の余地を残している。美貌というものは、考えるまでもなく、そこにただ強烈な魅力として在るものだ。その「考えるまでもない」という事態が乃木坂46の強みであるのならば、吉本此那は、唯一、それに正面から拮抗することのできる存在だとみなせる。

 

総合評価 67点

アイドルとして活力を与える人物

(評価内訳)

ビジュアル 15点 ライブ表現 13点

演劇表現 12点 バラエティ 14点

情動感染 13点

僕が見たかった青空 活動期間 2023年~