グループアイドルソング ランキング 2025

特集

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グループアイドルソングランキング 50位~41位

50位 恋は倍速 / 僕が見たかった青空
前作『好きすぎてUp and down』からさらに踊りの練度を高め、洗練した。八木仁愛の一応の回答作ということになるのだろうか。音楽自体は、前作、前々作に続き、テーマがほとんど変わっていないため、進歩を感じない。

49位 海風とわがまま / 日向坂46
『ドレミソラシド』の世界観を再利用した作品。アイドル一人ひとりが、個々に世界の彩度をあげている。

48位 Nothing special / 櫻坂46
音楽と踊りの分裂という問題を、BACKSメンバーの立場からアイドルのそれぞれが申告している。櫻坂46に現代アートを照り返してしまう映像作家の意識に大衆感情が駆けめぐっている。

47位 夕立雲 / NGT48
青春の景勝を歌う。アイドルの歌声もみずみずしく、生き生きとしている。

46位 言葉の限界 / 日向坂46
河田陽菜の卒業作品。河田陽菜らしく、理に落ちることのない内省の傾斜した映像がつづく。その大部分が演劇的である点が、アイドルを演じてきた人間の成長過程をあかしている。

45位 Oneness / NMB48
些細な出来事に思いつめる女性特有の恋愛感情が、あざやかに音楽の作風となってあらわれている。伝えたい言葉を伝えられないから屈託するのではない。伝えたい言葉がうまく感情に出せないから、屈託するのだ。

44位 真夏日よ / 乃木坂46
恋に有頂天になった若者の心の情動を歌う。企画的な要素を抜け出ないが、テーマを確立している。

43位 What you like! / 日向坂46
青春の当事者が青春を俯瞰するという視点の逆転が、言葉を詩へと押し上げている。正源司陽子、藤嶌果歩、渡辺莉奈の歌唱もまた音楽を上演しようとする意識に先立った、芝居がかった個性を残している。

42位 夢の匂い / 乃木坂46
久保史緒里の卒業作品。全体的に冗長である点、スポットライトに照らされる姿よりも、職人としての裏方を演じているその横顔のほうが本来的に見えるという点が久保史緒里らしい。

41位 君と猫 / 乃木坂46
恋愛を生理的な感覚にすぼめることで日常のありふれた場面を特別なものに見せる。その点では、表題作『Same numbers』のテーマにならった楽曲と言える。統一感を欠いた、個性を優先したアイドルたちの歌唱表現が楽曲の世界観に輪郭をあたえ、作品を真に統一感のあるものに仕上げている。


グループアイドルソングランキング 40位~31位

40位 あれはフェアリー / 僕が見たかった青空
金澤亜美がセンターに選ばれた。評判どおり西野七瀬によく似た少女で、作品もそうした話題性を音楽の入り口にしている。かつての人気アイドルとよく似たメンバーがいるということが作品の魅力にどう繋げられていくのか、今作品ではあくまでもストラテジーにとどまっているが、金澤亜美の踊り・表情を見ると、期待を隠せない。

39位 Addiction / 櫻坂46
セカンド・アルバムのリード曲。詩作にあたり準備したテーマにたいして、どうしても遠回りしてしまう、直接的な表現を避けてしまう、その分別の逃れがたさにおいて強い詩情を発揮している。認めがたい現実に直面した際の人間の動揺と興奮を、現実に直面することができないという詩情の弱さにおいて表現している。

38位 You are forever / 日向坂46
「命」というものに直接ふれて、生きるということの姿勢を音楽のうちに正している。

37位 ゆいりー / AKB48
村山彩希の卒業ソング。アイドルと劇場の変遷をたどるエティモロジー。

36位 人の隣を走るな / STU48
若者のディスタンクシオンを歌う。吉田彩良の精悍な個性が活きている。

35位 僕は言う / STU48
「世界の終わり」という仮定のシチュエーションに絞られる自己の妄想を前にして徐々に深刻になっていく「僕」の横顔が微笑ましい。歌い手のアイドルも音楽の世界にしっかりと足を踏み入れている。

34位 君と見た空は / 僕が見たかった青空
「空」に夢をつづめていく少女たちの群像が清々しい。

33位 まさかのConfession / AKB48
研究生の八木愛月がセンターに抜擢され、話題になった。今作では伊藤百花、花田藍衣などの新世代も台頭している。衰退期を経て模索期に入ったグループにようやく萌芽がおとずれたことを報せる顔ぶれの新しいアイドルが、音楽にみずみずしく躍動している。不満点もある。『恋するフォーチュンクッキー』を想わせるような、恋愛の劣等感に立った若者の屈託を順位闘争に暮れるアイドルの屈託へと結びつける歌詞がつけられたが、アイドルの踊りにしても、映像作品における演技にしても、その詩情への対応・浸透力に物足りない。今後の課題を提示している。

32位 純粋とは何か? / 乃木坂46
センターで踊るアイドルの立場の空転がタイトルをうまく絡めとっている。

31位 死んだふり / 櫻坂46
4期生のデビュー楽曲。「衝動」を演じるという乱舞の第一歩としては文句なしの出来栄え。だれになにができるのか、だれがなにをやるのか、という問いを作品化することで、音楽との関係性を深めている。


グループアイドルソングランキング 30位~21位

30位 天空の豆の木 / 乃木坂46
アイドルのそなえる幻想的な空気感、イメージを活かして夢という現実問題を歌うそのポエットのバランス感覚が、言葉の真の解釈でフェアリーテイル・ポップを確立している。

29位 Alter ego / 櫻坂46
4期生楽曲。歌詞を一つひとつ噛み砕き踊りに誇張して取り入れていく少女たちの姿は初々しくもあり、また教養的でもある。センターの山川宇衣には、伊藤万理華に類似した空気感、踊りの調子、表情の張りがある。

28位 あの頃のトライベッカ / 僕が見たかった青空
青春時代に遠望し胸を焦がした異国の地のことを大人になって思い出すその想念自体がノスタルジーへと立ち上げられ、やがて夢の希求にかえられる。”僕青”のアイデンティティと作詞家の力量が最高度に一致した幸福な作品。

27位 Skipping stone / AKB48
「水の石切り」という、郷愁をこれでもかと唸り立てるシチュエーションを駆使して、取り立てて意味のない行為に没頭する若者の横顔に人間の純粋さを見出しつつ、その可能性を歌う。むしろ、水面の波紋に、広がっては消えていった未来の可能性を想うというその大人としての視点こそが無垢に見えるが。

26位 半袖天使 / HKT48
作品が持つ視点は秋元康らしさにあふれる。アイドルへの演技要求の弱さが作品から緊張感を奪っている。

25位 Expected value / 日向坂46
グループアイドルという、若き才能の壮観を完成している。

24位 青空を語り合おう / STU48
「平和」に向ける想念を、かぎりなく無垢な立場から歌う。

23位 地平線を見ているか? / STU48
過去を忘れるのでもなく、引きずるのでもなく、過去を胸に秘めつつ前を向くしかないという、人間のあたりまえの営為、しかしそう生きるしかないのだというどうしようもなさを描きだす。音楽もまた定型をはずれているようで、その実、きわめてアイドル的である。新しくセンターで踊る少女の内奥の魅力を巧妙に引き出している。

22位 カイロに月 / 僕が見たかった青空
秋元康が作詞から降りたことで、良くも悪くも音楽の色合いがガラッと変わったであろうことを感じさせる作品。音楽の風とおしが良いと言うべきか。伏せ縫いした言葉が音楽を爽やかに流している。映像作品は、場面の使いまわしが目立つものの、センターに立った少女の魅力を捕らえきるのにじゅうぶんなボリュームがある。

21位 足の小指を箪笥の角にぶつけた / 日向坂46
小さなアクシデントを大きな笑顔の契機にしていく山下葉留花の姿をコミック・フェエリな舞台に映し出す。


グループアイドルソングランキング 20位~11位

20位 ぐるぐるカーテン(6期生ver.) / 乃木坂46
グループのデビューソングを、最年少メンバーである川端晃菜の誕生と成長に重ね合わせ歌う。乃木坂に徳育されたであろう笑顔の内に、伝統にこそ個性が宿るのだという可能性をひらいている。

19位 キッシュ・ラブ / 僕が見たかった青空
秋元康の文学的・散文的な色合いが濃く出た作品。麻布台でキッシュをテイクアウトする「君」の後ろ姿に恋の妄想を募らせていく「僕」の横顔は、音楽として、物語として、非常に贅沢に連想の種を蒔いている。動物と決定的に異なる、もちろん、AIの論理的な言葉でも尽くすことができないその場景は、ひときわ希望的であるが、どうにかして感情を言葉にあらわそうとする人間の営為の象徴こそ、恋愛における人間感情にあるのではないか。

18位 もっと永遠に / NMB48
卓越したタイトル。音楽が持つ言葉の力、その可能性に全身を投げだす少女たちの姿に励まされる。

17位 Be honest / STU48
順位闘争への屈託とその脱出への誓いを歌う。他人とは違う自分になろうとする無謀さを、自分は周りとは違う、自分は一般的ではないのだと信じる、人間のだれもが持つであろう自覚に裏返すことで大衆に反響する音楽を奏でている。ステージ上で鷹揚に佇む曽川咲葵のパフォーマンス、力強い微笑がそれを後押しする。

16位 傷つくことが青春だ / STU48
青春を正面から活写する意欲が、青春に苛まれ片時も休みなく活動する若者の精神の動きを音楽に捕らえ、小気味の良いリズムを完成している。『息をする心』以降のグループの特色を濃く残すが、後半につれ単調になる。

15位 Same numbers / 乃木坂46
日常と非日常の境目に夢へのアプローチがあるのだという希望を歌った。日常の些細な場面に神秘を目撃する意識、空想を追究する姿勢が、アイドルにイノセンスを強いて、音楽の純度をあげている。特に2番の書き出しと、その背景に呼応したアイドルの感情の凝縮した歌唱表現が素晴らしい。作詞における発想の無垢さが、あらかじめ譜面に書きつけられていたであろう音楽の不釣り合いな壮大さを看過している点が惜しい。

14位 視線のラブレター / 僕が見たかった青空
杉浦英恋をあたらしくセンターに登用した。「卒業」という、止めることのできないイベントの内に青春の局所を見つけることで、青春が人生の限定された時間であるという、青春の全体像を描き出す。恋の主観を成長の俯瞰に変えてしまう点が秋元康らしい。歌と踊りの調和をはかった少女たちのそのバランス感覚もまた並はずれて優れたものだ。『僕青夏祭り2025』で披露された踊りは、ファンを驚かせるばかりでなく、同業のアイドルに危機感をもたらすだろう。杉浦英恋、金澤亜美、持永真奈の踊りが特に抜き出ている。

13位 スマホ、見てる場合じゃない / AKB48
その隅々まで幼稚でポップな音楽でありながら、不思議と聴き応えがある。若者の気分の軽さのなかで「人生」という真剣にならざるを得ない話柄に立っている点がひときわコミカルで、充実したヒューモアを発揮している。

12位 桜の花びらたち 2025 / AKB48
AKB48の処女作を現メンバーで新録した。2006年に発表された楽曲ながらも、今あらためて聴いてみても、その詩情をじゅうぶんに保っている。ファンの記憶を昔の世界に巻き戻しているわけではない。アイドルを桜の花びらに喩えた詩情のありかたが、すべてを新鮮に見せているのだ。

11位 青春のデッドライン / NMB48
青春の終わりという焦慮の上で踊りつづけるアイドルたちの姿が、青春の陽光をきらめかせる。テーマにくどくどしく、堂々巡りの感が強いが、アイドルの最良の感情を音楽に頼り発見し、音楽に再びかえしている。音楽の心地よさが、心に染みついた青春からの脱却のむずかしさを突きつける。


グループアイドルソングランキング 10位~1位

10位 UDAGAWA GENERATION / 櫻坂46
櫻坂46のモチーフのなかに今なお欅坂46が息づいていることを、森田ひかるのダンスに裏書きした。世相から反抗的に遊離し、音楽の力を信じ、音楽で世代をつくってきたことをそのまま作品化している。他のアイドルソングと同じ場所に並べた際に、高い水準を保ちつつも、きわだって奇異に感じられる点がじかに作品の値打ちを示している。箱庭を完成したミュージックビデオ、アイドルのパフォーマンスにしぼれば、文句なしに2025年の佳品に入る。

9位 空飛ぶ車 / 日向坂46
5期生楽曲。松尾桜がセンターに選ばれた。こころの内に積み上げた妄想が現実として具体的なかたちをあらわしたとき、想像もしなかったことがその身に起きるのだという、「奇跡」という言葉の意味を「アイドルの誕生」というヴィジョンに引き合わせた、希望的な楽曲。幻想に舞いあがった松尾桜の笑顔に目を奪われる。

8位 Unhappy birthday構文 / 櫻坂46
音楽と人間のあいだに言葉を超える強いつながりがあることを、喜怒哀楽の逸脱をもって表現している。精神的な孤独のなかで自分を嘲笑ってみせる、自己劇化したユーモア、若者の無垢さ、悪あがきがアイドルの踊りにかきたてられていく様子は、大人になってしまった人間の良心をいとも容易く焼きつける。

7位 お願いバッハ! / 日向坂46
バッハの『G線上のアリア』への批評をそのまま音楽の歌詞に書いた。『G線上のアリア』を現代への応答として用いる点に批評の成立と核心がある。解放されたアリアの相対として映し出された渡辺莉奈の、その文脈と解釈のきわめて限定的な姿が、言葉の最良の意味で宿命的である。

6位 卒業写真だけが知ってる / 日向坂46
恋愛において救いようもなく仮定のストーリーに沈んでいってしまう人間の性、現実とは違うかたちをした現実を探し出そうとする人間の性、徐々に肥大していく妄想を、大人になってしまった者の後悔として描き出すことで、青春に涌く若者への心得にかえている。ドラマチックな音楽の展開と、感情を静かに秘めた小坂菜緒の声音がつくる対比が目ざましい。孤独に閉じた妄想を、可能性に変えている。

5位 Love yourself! / 日向坂46
自己肯定という「アイドル」のパラマウントを「小坂菜緒」の横顔に求め、音楽に体現している。一見すると無害な歌詞だが、その実、現実から目を背けさせまいとする厳しい眼差しと、包容力がある。アイドルが音楽に励まされ立ち上がる姿がそのままファンの活力になり得るという光景は、音楽に現代人の弱さをえぐり出している。

4位 チューストライク / NMB48
かつての「モーニング娘。」の世界観=社会・経済への活力という意味でのアイドル観に学んでいる。その反復精神、発想の無頓着さ、ミュージックビデオに描き出される世界の薄っぺらさなど、苦笑いすべきものだが、社会風潮の上で強引に語られる若者の恋愛、青春のトーンが、大阪でも東京でも取り立てて違和感の出ないアドバルーンを飛ばし、音楽に胸おどる起伏をつくっている点は風俗としてのアイドルを達成している。

3位 ネーブルオレンジ / 乃木坂46
音楽そのものが季節の記憶になりえる、情感の深い詩情を印している。過去の恋愛の差響きが、現実とも仮想ともつかない場所へ主人公を導いていく点がきわめて幻想的で、リアルである。中西アルノの才能に頼って既存のアイドルソングの枠取りから抜け出ようとする姿勢が、記憶の往還という行き場のない作風に淡い希望の影を落とす。

2位 ビリヤニ / 乃木坂46
6期生の瀬戸口心月、矢田萌華がセンターに抜擢された。噂に聞いた少女の、未知なる魅力へといざなうファンタスティックな作品。恋の熱に浮かされた若者の無鉄砲な行動力を、音楽のストーリーをもって全力で肯定する。アイドルの人気・評判が高いことで、作り手の緊張感が維持され、それが楽曲の質と相乗している点が、今日のアイドルシーンを代表している。鑑賞になんら障壁をつくらない、音楽に増長したミュージックビデオもまたグループの気勢を感じさせるものだ。矢田萌華のミステリアスな表情が、鑑賞者を別世界に立たせる。

1位 ジャーマンアイリス / 日向坂46
初恋という喪失を、青春の極限に見ながら、ノスタルジーの別名として描き出す。その点で、この作品には未来も希望もない。まだ純粋だった頃の自分を感傷だけが永遠に約束してくれるという点に希望を見出そうとするその救いのなさこそ、ノスタルジーに拉がれる人間感情のもっとも無垢な部分だと云えるだろう。若い頃には知ろうともしなかった花の名を大人になってから調べ、その本当の意味を知るという追憶のありかたと、その詩情を演じるのが過去に立つ純潔な少女としてのアイドルだという点が、音楽を透徹に映している。初恋という喪失の果てに絶対的なものになったノスタルジーが、それを演じ歌うアイドルをやはり絶対的な存在にしている。音楽を踊りに叙述していく大野愛実のシルエットのうつくしさに、だれもが息を呑むことだろう。



2025/12/20  楠木かなえ