グループアイドルソングランキング 欅坂46編

「大人へのほんとうの反抗」
僕たちのユートピアは 現実逃避だった
秋元康/もう森へ帰ろうか?
平手友梨奈にとっての”普通”は、ふつうの人の”普通”とは、違う。大人は、同意がなければ物事を始めることも終わらすこともできないが、平手友梨奈は、言わば青春に沸きたった若者は、違う。
平手友梨奈の普通ではない部分とは、フィクションの内に異様なまでの居心地の良さを覚えるという、そのイノセンスに象徴されるだろう。15歳で、『サイレントマジョリティー』や『二人セゾン』を演じ表現している。「平手友梨奈」を表紙に飾った作品が爆発的なヒットを記録したことで、少女は、めのくらむような称賛をその身内に浴びただろうし、また、欲するようになっただろう。なによりも、秋元康の編み上げる音楽の内に、生きるうえで学ぶべき重要な部分があることを、いや、むしろその音楽が自己の青春において到達すべき理想郷であることを、確信したのではないか。社会のルールから逸脱し、大人に反抗しろ、と云うのなら、そうするし、黒い羊を演じろと云うのならば、そうする。みんなが期待する人間にはなるなと教訓するなら、それに従うし、10月のプールに飛び込めと云うのなら、もちろん飛び込む。彼女のそうした作品にたいする純粋さを向こうにまわして、これはあくまでもフィクションだから、と笑い、止めることは、作り手自身、みずからの存在理由を否定することになるから、絶対にできない。アイドルをとおして、若者にみずからの理想を説く。つまらない大人になるな、と唱える、その言葉の伝達者である少女が、その理想どおりに行動することで、やがてアイドルの破綻というかたちをもって大人たちを追い詰めることになる。この二律背反、大人へのほんとうの反抗にこそ、平手友梨奈の、欅坂46の魅力がある。
こうした感慨は、かなり短絡的で、安直に感じられるが、若者の思料と、それにもたらされる行動とは、往々にして、無垢で、短絡的なものではないか。短絡的であるがゆえに、大人になってしまった人間には、容易には計り知れないもの、想像し得ない感情の突風が、そこに生まれるのだ。
グループアイドルソングランキング 欅坂46編 77位~71位
77位 大人は信じてくれない
『サイレントマジョリティー』の余韻に浸っている。歌詞カードに書かれた言葉があまりにも説明的で、音楽としてはまったく楽しめない。こうした、他作品からテーマを借りただけの、かりそめの音楽がこのあとも延々と続くと思うと……。
76位 割れたスマホ
「スマホ」を鏡にして若者の思料を覗こうとする作詞家の健気な姿勢が微笑ましい。
75位 Student Dance
ファンによる音楽の考察を誘うような、意味ありげなイメージを作っているが、それだけのことである。
74位 君をもう探さない
歌詞を構成する最低限の努力が放擲されている。ただ言葉を垂れ流しているだけにしか見えない。音楽もまた錆びつくにまかせた、質の低いものだ。
73位 AM1:27
若者の破れかぶれな自棄を並べるが、音楽の焦点が結ばれていない。
72位 自分の棺
平手友梨奈のソロ第3弾。欅坂の黄金律を平手友梨奈個人に落とし込んでいる。今作までの、また今作以後の作品を先取りする楽曲ではあるが、音楽としては、集中して興奮できる箇所を一つも持たない。
71位 避雷針
若者のレゾン・デートルにかかわる部分をすくい上げ、希望をあたえようとしているが、どうしてもアイデアを使い回しているという印象を拭えない。繰り返しおなじテーマを用いることの退屈さが、音楽にじかに現れている。
グループアイドルソングランキング 欅坂46編 70位~61位
70位 バレエと少年
少女の性的な事由をあらわすために、音楽そのものを幼児退行させている。
69位 半分の記憶
「ひらがなけやき」の2期生楽曲。大上段に構えたタイトルの割には、ぎくりとさせるような部分はどこにもない。アイドルへのすり合わせも放棄されている。小坂菜緒が初めてセンターに立った作品だという点に、ファンならば価値を見いだせるかもしれない。
68位 危なっかしい計画
渋谷の女子高生の日常を想像しているが、どこかで聞いたような安っぽい光景しか差し出していない。
67位 渋谷からPARCOが消えた日
平手友梨奈のソロ第2弾。都会の街並みの変移を少女の成長に投げかけている。こうしたテーマは、欅坂から櫻坂に至る今日まで、繰り返し用いられているが、今作に限って言えば、音楽的な感興は皆無である。恥じらいもない歌詞がまず堪えがたく滑稽であるし、肝心の「街」の様相をどこにも呈していない。
66位 猫の名前
「猫」を心の通い路にした男女の恋愛風景を描くが、シチュエーションに散漫なところが多く、ロマンチックに仕上がっていない。音楽の歌詞を作るという条件・ルールが、詩に制約をかけ、詩を冗長なものにしている。
65位 月曜日の朝、スカートを切られた
ファースト・アルバムのリード曲においてグループのデビュー曲である『サイレントマジョリティー』の成り立ちを描くという、作り手のアイデアの枯渇を裏付けた作品。大人への反抗を描いた作品の前日譚を、成長に向かい歩くアイドルたちに歌わせる点は倒錯としか言いようがないが、過去の傑作をすり減らしてまで制作した割には、音楽にしても、映像作品にしてもなんら魅力的ではないという点が、何にも増して皮肉的である。
64位 僕たちの戦争
恥も外聞もないタイトルを印した割には、作品そのものは、かなり小ぶりにまとめられている。
63位 少女には戻れない
螺旋階段を運命に見立てる、発想の拒絶した音楽を連ねている。
62位 微笑みが悲しい
平手友梨奈と長濱ねるのユニット。この二人を並べてみたかったのだろうな、というだけの作品。
61位 ボブディランは返さない
「ゆいちゃんず」の第2弾。『渋谷川』と比べると、よりポエットの趣を濃くしている。アイドルを自己の代弁者とする作詞家のエゴがよく現れている。
グループアイドルソングランキング 欅坂46編 60位~51位
60位 それでも歩いてる
「ひらがなけやき」による一曲。欅坂46に向ける反動のあてどなさを高める。反動の露呈と行程が、音楽の魅力になんら貢献できていない点が惜しい。
59位 Nobody
表題作の『黒い羊』に準拠したテーマを用意している。若者の激しやすく無謀な一面をあえて見逃すことで、音楽の抑揚までも捨ててしまっている。
58位 夕陽1/3
「ゆいちゃんず」に平手友梨奈と長濱ねるが加わった、変わり種のユニット。音楽を、音楽には関係のない部分で発想することの不純さがにじみ出た一曲とでも云うべきだろうか。
57位 結局、じゃあねしか言えない
青春の止め処もない部分を、やはり止め処もない音楽の思料にかえて、唄っている。その点で瑞々しい楽曲であり、歌唱メンバーも味のある5人を揃えているが、如何せん、まだまだ技量の乏しさが目立つ。
56位 波打ち際を走らないか?
表題作など、一連の他作品と比べると、熱に浮かされたところが少ないが、それが返ってアイドルのまだ見ぬ一面を覗かせ、たとえばメイプルな音楽の魅力を楽しむことができる。
55位 夜明けの孤独
平手友梨奈のソロ第4弾。平手友梨奈の屈託に詩情をもって寄り添おうとしている。若者がフィクションの内に見出す予感とは、ここまで明確で、軽いものなのだろうか。
54位 ここにない足跡
「未来」への希望を唄う。感傷にみなぎっている。アイドルの表現もまた感傷的だが、やや淡泊にも感じる。
53位 ヒールの高さ
ヒールの高さを、「成長」を表す歌詞にあてがっている。大人になりつつある少女たちの日常にあって、ほんとうにそうした思料が現実を巻き取っているのか、想像すると、失笑を禁じえない。
52位 永遠の白線
若者の失意に立とうと試みている。白々しく、言葉の薄っぺらい部分も目立つ。
51位 ゼンマイ仕掛けの夢
「ゆいちゃんず」の第5弾。自分の人生のなかで、もう二度と眼にすることの叶わない、過ぎ去っていったものたちを数え、想い、歌う、ノスタルジーをテーマにした楽曲だという点はこれまでと変わらないが、シチュエーションがあまりにも情緒的にすぎて、現実的な出来事として落とし込める部分がほとんどない。
グループアイドルソングランキング 欅坂46編 50位~41位
50位 302号室
恋の終わりを、引っ越しという日常の数奇なシチュエーションのなかで綴る。失恋を金属疲労による破断に喩えるなど、若者のみじめな気分をなかなか写実的にあらわしている。
49位 東京タワーはどこから見える?
ノスタルジーの内にヴィジョンを造型していく手腕はたしかなものだが、ここでもまた、説明的であることが音楽の興を削いでしまっている。
48位 風に吹かれても
他ジャンルへの越境を試みることでグループの新しいフォームを志向しているが、失敗している。この時期から、平手友梨奈の中庸さを作風にたのむことで、アイドルとしての香気に欠けはじめたように思われる。アイドルではない何か、という点では欅坂46の後期作品の「萌芽」として聴けないこともない。
47位 ごめんね クリスマス
欅坂としてのダークな無関心の部分と、アイドル個々にそなわるコケットな部分を縫い合わせた意欲的な作品だが、ただアイドルのイメージに便乗しているだけにも見える。
46位 1行だけのエアメール
「ゆいちゃんず」の第4弾。現実にはとても起こりそうもないイベントをもとにノスタルジーの魅力を唄うという点で、同ユニットのモチーフに一貫している。
45位 砂塵
平手友梨奈の脱退という出来事にともなうグループの心境に詩と音楽で与すことで明るい予兆を投げている点は感服するが、楽曲そのものは、いたって平板な出来である。
44位 Deadline
平手友梨奈の喪失にともなう喧騒や情操を、どうにかして心の奥に隠そうとした、誠実な一曲。
43位 I’m out
グループのモチーフの模索に、行き詰まっている。アイドルのパフォーマンスは、一定の水準をクリアしている。
42位 音楽室に片想い
長濱ねるを先頭にして、アイドルのイメージによどみないが、楽曲は、やや間延びしている感を否めない。
41位 君に話しておきたいこと
凡庸の一言に尽きる。
グループアイドルソングランキング 欅坂46編 40位~31位
40位 青空が違う
都会に暮らすことの憂苦を「遠距離恋愛」のシチュエーションを駆使して表現する。歌詞だけでなくアイドルもまた、上京した少女の目線をうまく描き出せている。
39位 日が昇るまで
今泉佑唯のソロ第3弾。アイドルの感情をフィクションに語ろうとする姿勢は痛いほど理解できるが、あまりにも一辺倒で、露骨すぎ、あだ花に終わっている。
38位 山手線
平手友梨奈の初のソロ楽曲。平手友梨奈と林瑠奈という構図をして、『アトノマツリ』の題材に取られたのであれば、『サイレントマジョリティー』同様に、次代に影響をあたえた作品の一つに数えられるかもしれない。
37位 コンセントレーション
恋愛においてリグレットを抱くことで復調への可能性を見出してしまうという人間の醜態、失恋に輪をかけた見苦しさを唄う。タイトルに回収される詩情が記せていればなお良かった。
36位 否定した未来
長濱ねるのソロ第3弾。『乗り遅れたバス』や『また会ってください』を歌ったころから、アイドルの抑揚に一切の変化がないという点に驚かされるが、アイドルを演じるなかでやつされた部分が、一貫した歌唱スタイルというかたちをとってにじみ出ているようにも感じる。
35位 太陽は見上げる人を選ばない
よくもまあ、これだけ無垢なタイトルを次々と思いつくものだなと感心するが、こうした楽曲に往々にして起こるのは、楽曲を演じる肝心のアイドルにその一望の実感が不足している所為で、大言壮言にしか聞こえないという点である。今作も例にもれない。音楽自体は、足取りの軽い、情動をかすめるものである。
34位 乗り遅れたバス
タイトルどおり、長濱ねるのサクセスに乗じた作品。音楽をとおしてアイドルを育もうとしている。
33位 渋谷川
「ゆいちゃんず」の当作として、根強い人気をもっている。歌詞の端々に私情を込めようとする作詞家の熱誠を、アイドルが上手に肩代わりできている。詩情の奥行きに乏しい点が、不満を残す。
32位 また会ってください
長濱ねるのソロ第1弾。欅坂にもうひとり、強い主人公がいることを教えている。赤い傘をさし独り歩く、すべての基準を超えた、可憐な、不敵な少女を記録している。
31位 再生する細胞
今泉佑唯のソロ第2弾。なにものにも怯まないアイドルの横顔が、フラジャイルな詩情に重なることで、アイドルソングの枠から独立した恋愛ソングを生んでいる。
