乃木坂46 僕たちのサヨナラ 評判記
「なんて美しい オレンジ色の空」
楽曲、歌詞、ボーカル、ミュージックビデオについて、
32枚目シングル『人は夢を二度見る』のカップリング曲。センターは秋元真夏。
楽曲のクオリティを問えば、表題曲の水準を軽く超える作品だが、前表題作『ここにはないもの』とおなじく卒業ソングである点、2作品連続でシングルの表題を卒業ソングにすることの躊躇、センターに配されたメンバーの卒業スケジュールなど、現実の様々な問題点から、先行配信曲・カップリング曲になったのだと、想像する。想像力をさらに飛躍させ妄想するならば、シングル表題曲にはならない、という事情のおかげだろうか、作り手が気負うことなく楽に構え、制作にあたっているように見える。卒業ソング=アイドルのメモワール、という条件の中で、やりたいことをやりたいようにやっている、表現している、ように感じる。
いずれにせよ、作詞家・秋元康がこれまでに編み上げてきた、アイドルの卒業ソングのなかで、まず間違いなく最も傑出した楽曲であり、”サヨナラ”の系譜において白眉の出来に感じる。
映像を駆使し、乃木坂の回廊を描き出す。ある一人の少女が、一つのアイドルグループを通して、様々な人間の、雑多な夢と日々交わり自己を育んできたそのストーリーを音楽に高い純度で印す。つまずき、転びそうになる秋元真夏を支えるように、その身体に手をあてるように、他のアイドルが駆け寄り集結する歌い出し部分は、乃木坂の記憶と魅力を鮮明に映し出すと同時に、音楽的カタルシスを叶えている。この一曲をもって、乃木坂46の歴史のタペストリーをたどることが可能。
歌唱メンバー:秋元真夏、五百城茉央、池田瑛紗、一ノ瀬美空、伊藤理々杏、井上和、岩本蓮加、梅澤美波、遠藤さくら、岡本姫奈、小川彩、奥田いろは、賀喜遥香、金川紗耶、川﨑桜、北川悠理、久保史緒、里黒見明香、阪口珠美、佐藤楓、佐藤璃果、柴田柚菜、菅原咲月、鈴木絢音、清宮レイ、田村真佑、筒井あやめ、冨里奈央、中西アルノ、中村麗乃、早川聖来、林瑠奈、松尾美佑、向井葉月、矢久保美緒、山下美月、弓木奈於、吉田綾乃クリスティー、与田祐希
作詞:秋元康 作曲:かわいえいじ 編曲:かわいえいじ