乃木坂46 柴田柚菜 評判記

乃木坂46

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「個性派から大衆派アイドルへ」

柴田柚菜、平成15年生、乃木坂46の第四期生。
標準的なグループアイドル、といった印象。平凡な人へと成長したアイドル、と言い換えても良い。
デビュー当時は、カメラの前で当たり前のようにウソをつかなければならないことに対して、つまりアイドルという職業のあり方に向け、激しく憤っているような、あるいは、そのありきたりな慣習、自己を捻じ曲げ大衆に迎合しなければならない抑圧に呆れ返っているような、自身の日常の機微の反故をけして許さない、他者の思惑通りにはけして動くまいとする、鋭い眼光をかいま見せたが、一転、今日では、そうした特性、言わば少女の神秘性は失われ、みずから積極的にファンのご機嫌をうかがう、大衆派アイドルへとその姿を変えた。
ファンの支えがなければ「選抜」に上がれない、と確信してしまったアイドルほど虚しい存在はない。
自己の内にたしかな魅力つまり才能が秘められていると確信できず、またそのとおり序列闘争において敗北を喫しつづけてきた少女が、プライドをかなぐり捨て、ファンに媚を売ることで人気を獲得し「選抜」のイスを手に入れる。そうしたアイドルのことをエンタメ・アイドルと呼ぶのだが、問題は、そうまでして手に入れた「選抜」のポジションを自己の成長に役立てるのではなく、そのイスを守るためにさらにファンに媚を売っていく退屈なアイドルが後を絶たない点にある。柴田はその典型と云えるだろうか。
大衆を虜にすることと、大衆に屈することではまったく意味が異なる。ファンに「恋愛」を噂された際に、それを笑い飛ばしたり、歯牙にもかけず立ち居振る舞うのではなく、誤解させてしまったことを詫び、ファンのご機嫌をうかがうところに柴田柚菜というアイドルの平凡さが滲み出ている。その平凡さは、まるでアイドルがファンの人質になっているかのような、異様な空間を覗き見た心地に浸らせる。
この手のタイプのアイドルは、遅かれ早かれ、なによりもまず、皮肉にもその大衆自身に飽きられてしまうものだが、果たして彼女の場合は、どうなるだろうか。

 

総合評価 50点

問題なくアイドルと呼べる人物

(評価内訳)

ビジュアル 12点 ライブ表現 12点

演劇表現 12点 バラエティ 8点

情動感染 6点

乃木坂46 活動期間 2018年~