2020年もっとも読まれたアイドル批評
「2020年」
さて、今年も「1年でもっとも読まれたアイドル」を抽出してみました。集計期間は2020年の1月1日から12月23日まで。当サイト内におけるアクセス数トップ10(アイドルの記事に限る)となります。集計にはグーグルアナリティクスを利用しました。
ランキングを表示した結果、2019年のランキングとほぼ変わりがなくやや拍子抜けしましたが、これはサイトのアクセス数が伸びれば伸びるほど過去の記事にアクセスされる可能性が増える、ということなのだとおもいます。過去に書いた記事が現在でもよく読まれるというのは作家としてはこの上ない喜びではあるのですが。
ではランキングを眺めてみましょう。まずやはり乃木坂46の人気がある。1位は西野七瀬。卒業してもアイドルファンからの関心は未だ衰えません。驚異的です。2位は大園桃子。この人は独自の枠組みに立ちつづけている。46時間テレビにおいて、歌を唄うことによってメッセージを贈ろうとする姿勢の強さにはこころを揺さぶられました。唯一、新しくランクインしたアイドルが日向坂46の丹生明里。小坂菜緒の記事をまだアップしていないので、安易にシーンを反映した結果とは云えませんが、デビュー当時に示した可能性通りの飛翔を日々描く丹生明里というアイドルにはやはり並々ならぬものを感じてしまいます。
2021年は日向坂46の主人公=小坂菜緒に焦点を当てつつ、乃木坂46の4期生、櫻坂46の2期生の批評の完成を目指しますが、同時に、NGT48の物語にも深く潜り込んでみるつもりです。絶望の前と後で少女たちの表情がどのように変わったのか、今、もっとも興味深いアイドルグループがNGT48です。
「2020年もっとも読まれたアイドル 10人」
批評家の役目とはシーンを盛り上げることだ。質の低い商品が良品として商品棚に並べられているのならば容赦なく批評の矢を放つし、良いものが日の目を見ないまま野ざらしにされているのならば、称賛し表舞台に引きずり込む。しかし2020年は「新型コロナウイルス感染症」の出現によりこの姿勢を久しく揺さぶられた。「最近、時間を持て余していて」と苦笑いする舞台役者を前にして、果たしてこの状況下で批評は、自分の文章は機能するのだろうか、とにかく今はかれら彼女らの作る演劇を称賛すべきなのではないか、ぼうっとしてくる。きっとアイドルもまたおなじように困窮を抱えているのではないか、想像に難くない。
このような情況のなかでアイドルを真剣に応援する読者の方からのお便りを読むことはとても実りある時間となりました。自身が”推す”アイドルへの熱量を記した言葉に触れ、そのアイドルをもう一度眺め、検討し、再批評する、という出来事もありました。自分の推すアイドルが容赦ない批評の矢に打たれたとき、しかしそれを受けきり、新たな思考の可能性をきりひらくための工具として利用できるのならば、それはきっとあなたがほかのだれよりもアイドルを深く理解し、親愛していてるからなのです。だから、その批判が的外れなら笑い飛ばせるし、核心を突く槍ならば、すでにそれはあなた自身も遭遇していた、しかしそれでもなお抱きしめようと決心したアイドルの横顔であるから構えが崩されない。もし、あなたのその”推し”がアイドルを卒業してしまったのならば、”彼女”の意志や血を継承するアイドルがかならずシーンのどこかに誕生しているはずですから、見つけ出し、応援してあげて欲しい。「アイドルの値打ち」がその冒険の役に立てるのならば、幸いです。
2020/12/23 楠木