AKB48 河西智美評判記

「人間の本質を暴く美貌」

河西智美、平成3年生、AKB48の第二期生。
性格に振り幅のある問題児として、広くファンに知られる。基本的には誠実なアイドルだが、気分次第ではひどく行儀が悪くなる。どうにかしてこの性根をたたき直せないものかと、周囲の人間の頭を悩ませた。
だが、そうしたイメージのほとんどは、ファンの手によって脚色されたものである。河西本人をじかに眺めれば、多くの部分で平凡で無害なアイドルに終始する。もちろん、アイドルの存在感を実物よりも大きく見せるような評判記をファンに語らせる原動力が「美貌」にほかならないという点に限れば、古典的であり、非凡だと云うべきかもしれないが。美貌が、少女の奔放さを人々に最終的には許容させる、という意味で、人間の変わらない本質を暴いている。要するに、不誠実な行動をとる河西智美というアイドルを面白おかしく語ることで、許せた気になる、その状況自体が、河西の美貌を前にした人間の情動の賜物なのだろう。
表現の分野においては、かなり魅力に乏しい。演技は、目もあてられない。歌やダンスにしても、本質的には同じ問題を抱えている。現実的、アクチュアルに生き、言動と結果の食い違いに葛藤したアイドルの割には、歌やダンスになると、途端に「自分」を誤魔化し、陳腐な技巧にこだわる。雑誌・インタビューを漁ると、同業者のあいだでその実力の高さをささやかれた場面もあるが、正直、過褒にしか聞こえない。褒めるべきは、河西智美以降、河西のような美貌をもったアイドルを探し指を折ろうとしてもすぐに詰まる、という点だろうか。

総合評価　58点

問題なくアイドルと呼べる人物

（評価内訳）

ビジュアル　14点　ライブ表現　12点

演劇表現　7点　バラエティ　12点

情動感染　13点

AKB48　活動期間　2006年～2013年