グループアイドルソング ランキング 2025

「上を向いて歩こう」
僕は心から叫ぶ
秋元康 / ビリヤニ
2025年のアイドルシーンを一冊の本にするなら、その表紙を飾るのは誰か。
3シングル連続で表題曲のセンターに立ち、名実ともにアイドルシーンを代表する存在になった小坂菜緒の名をまず想起するが、成熟と虚弱を表裏一体にした小坂菜緒のアイドルとしての到達点の向こう岸に立つ少女たち、たとえば乃木坂46の矢田萌華、増田三莉音。日向坂46の大野愛実、松尾桜なども甘美きわまる存在感を放っている。
しかしなぜこうも私たちアイドルファンはアイドルのデビューという出来事それ自体に、ほとんど無条件に、いや、条件反射的に、激しく情動を起こしてしまうのだろうか。それを一口に言えば、デビューしたばかりの、まだ右も左もわからない、自分にいったいどんな魅力があるのか、自分の正体さえ知らないままアイドルという別名を名乗る、音楽を演じ、夢に向かい走るその情況、つまり少女が全身的に純粋で無垢に見えるというその面目にもたらされる、ある種の処女性だけに約束されるものを感知するから、ということなのだとおもう。
もちろん無垢それ自体は、新人アイドルだけの特権ではない。生まれながらに純潔な少女。アイドルになったからには清純でなければならないと誓い、演技する少女。幼稚であることで、否が応でも無邪気に見えてしまう少女。おなじ無垢であっても各人各様ではあるが、何にせよそこに値打ちを見るべきは、無垢であることで表現しえるもの、ではないか。言うまでもなく、夢や希望は無垢であろうがなかろうが誰にでも表現できるものだが、それとはべつに、無垢であることでしか立ち現れない夢や希望というものがたしかにあり、それを歌や踊りで表現すること、そういうものがあるという事実に支えられること、なによりも、夢や希望をそこに当然にあるものとして歌う姿にアイドルの本領がある。夢や希望を笑顔に歌うから無垢なのではない。無垢であるから夢や希望を正面から口にすることを可能にするのだ。裏を返せば音楽には、歌い手にしても、それを聴く者にしても、その音に触れる人の心、生きるうえでの姿勢を、純粋さで染めてしまう力がある、ということだ。たとえば、眠って見る夢の世界に登場した人物のことを特別な存在だと信じてしまうあの感情と、その感情をだれもがその日のうちに見失ってしまう出来事と似て、音楽もまた人間の純粋さを瞬間的に引き出す力をもっている。それが音楽の美しさなのだとおもう。
音楽に言葉をつけること、つまり作詞することが、人の純粋さから別れを告げることができないのも、当然の宿命である。詩は言葉で、歌詞は詩であり音楽としての言葉だから、話し言葉ではないにしろ心のうちにあるその人の感情のしるしであることに変わりない。話し言葉、書き言葉、散文、叙情…、作詞にどのようなスタイルを取り入れようともその点についてはまったく問題にならない。心のうちにある感情を言語にして歌詞にあらわすことができているのか、という点もさして問題にならない。作詞家に問われるのは、音楽に純粋になることで自分の心のうちに話し言葉や書き言葉では言いつくせない感情があることを思い知り、それを日常では絶対に言葉としてあらわれないものとして音楽に表現することができているのか、この点に尽きるだろう。
秋元康がこうした試練を容易く乗り越えるのは、「音楽」と「アイドル」という関係のなかで自己を物語る姿勢に一貫してきたからに相違ない。歌詞において「僕」から「君」に向けられた感情・言葉を歌うアイドル自身が「君」であり得るという状況そのものが、秋元康の詩の魅力であり、アイドルの本分である。
けれど、時にその「僕」の感情・言葉は、鑑賞者に見たくはない現実を突きつけ、うつむかせる。たとえば、自問自答の末に過去の怒り悲しみを思い出してはその感情にまかせて現在の選択を決めてしまうような人間は、きっと、幸せにはなれない。過去など、きれいさっぱりに忘れしてしまうべきなのだ、特に恋愛においては。そうでないと、最終的には、過去の眩しかった時代風景のとりこになる人間になってしまう。秋元康の詩には、そうした世界の戸口をひらく力が、時に込められている。終わらせることのできなかった青春を終わらせようとする、ような。
こうした「感傷」を体現し「希望」に変えるのがアイドルの役目だと言ってしまうと、かなり押し付けがましいが、しかし、うつむき下を向いて歩いた経験を持たない人間が、どうして上を向いて歩こうと歌えるだろうか。
グループアイドルソングランキング 131位~101位
131位 やねん / NMB48
奇抜ではあるのかもしれないが、芸に弱く、音楽から腰が引けている。
130位 真冬のプール / STU48
水が抜かれたプールという場景を恋愛に投影していく点はなかなか達者で、先行作品との類似をうまく回避しているが、音楽的な高揚感は皆無。統一感、個性のどちらも欠落したアイドルの踊りが止めを刺している。
129位 Spark a revolution! / 乃木坂46
詩情の欠片もなく、「歌」と呼べる代物ではない。
128位 Tick tack zack / SKE48
SKE48と言えば「踊り」ということになるのだろうけれど、音楽作品として、到底水準に達しない。ダンスナンバーへの一方的な解釈にきょくせきしている点がいかにもSKEらしい。
127位 遠くの恋人よりも / SKE48
音楽と捉えるのには躊躇する、質の低い作品。「アイドル」がギミックでしかない。
126位 Nightmare症候群 / 櫻坂46
難解な、それっぽい表現を用いれば作品がアートになるだろうという勘違いの典型。
125位 Gotcha / NMB48
全体的に抑揚に欠け、心をはずませるどころか徒労感に追われる。若者はいついかなる場面にあっても純粋無垢なのだとする信念をつらぬき、安直な表現を使い回す作詞家の言葉の意図を挽回するだけの力が音楽に宿っていない。
124位 あの頃のBGM / STU48
池田裕楽と徳永ゆうき(演歌)のデュエット楽曲。型破りなところが逞しい。
123位 なぜ 僕たちは走るのか? / 乃木坂46
6期生楽曲。新人の楽曲にしては慎ましやかな姿勢が崩れていて、新鮮味がない。すでに踊りを手法化してしまったメンバーもいる。グループの過去作品に意味をなすりつけただけのミュージックビデオもまた退屈きわまりない。
122位 新宿バックオフ / 乃木坂46
「新宿」を型にはまった言葉で記号化することで、やはり紋切り型に生の感情を奪われた若者を表現している、などと大真面目に粘り強く解釈するにしても、音楽が表面的にすぎ、ポリセミーの魅力にはほど遠い。
121位 どこまで嘘を言えたら / SKE48
切り口を変えようとする意気込みはあるようだ。けれど実験的な題材とも言えず、音楽の心地の悪さだけが残る。
120位 紋白蝶が確か飛んでた / 櫻坂46
タイトルどおり、連想的ではあるが、タイトルどおり、音楽の感触もない。
119位 僕たちの疑問 / SKE48
青春を回想することと、青春を当事者として語ることの意識が錯綜している。トラックのいずれも手際が悪い。
118位 生口島の瀬戸田レモンじゃけぇ / STU48
「若者」と「郷愁」の結節点を探っている。陳腐な設定に引きずられたアイドルの表現が痛ましい。
117位 交感神経優位 / 乃木坂46
演劇と歌唱にチャレンジする若者という設定をそのままアンダー・アイドルの課題点に挙げつつ、タイトルの回収に励んでいる。音楽に与えられる役とアイドルの格が見事にそろっている。
116位 SUZUKA / 日向坂46
富田鈴花に向けた、作詞家からの当て書きに埋まる。
115位 Unlimited / SKE48
SKE48の特色を活かそうとする意識――アイドル=踊りとする定立が、題名と対決してしまっている。
114位 Karma / SKE48
恋愛のデモニッシュな感情をカルマに落とし込んでいく点はひどく通俗的に思えるが、一応、最後まで聴かせる力はある。問題は、アイドルの表情だろう。押しなべて人工的で、まったく幻想的に映えない。踊りの質も年々低下している。熊崎晴香くらいだろうか、見どころを作れているのは。
113位 希望列車 / NGT48
表題作にしては普遍的な広がりを見せない。深みもない。既存の楽曲と似てしまうことを恐れるあまり、音楽として当然そなえるべき起伏=興奮のことごとくを脱臼させてしまったように見える。 小越春花の卒業以降、深刻なタレント不足に陥った感があるが、そうした事態が作品の質にじかに反映されている。
112位 ってかさ / 乃木坂46
『アトノマツリ』の系譜に立つ楽曲。『アトノマツリ』当時のフィーリングの目新しさはどこにもなく、正視するに耐えない光景だけが延々と垂れ流される。「ラップ」が幼児退行の手段になっている。
111位 反響のティッピングポイント / 僕が見たかった青空
歌詞に生気を感じない。今日のアイドル観に従った歌詞と言うよりも、秋元康の言葉をただ模倣しただけの歌詞に映る。書きながら考え、構図を練り上げていった痕跡がどこにもない。演じられた野蛮さでしかない。
110位 I will be / 櫻坂46
歌詞には随所に目を引く場面があるが、それらが音楽として目を奪うことはなかった。BACKSメンバーらしいテンションと、BACKSメンバーらしいモチベーションに適えられた作品と云うべきか。
109位 境界線 / NGT48
女性の恋愛感情の一画を歌う。思弁が時代がかっていて、芝居じみている。
108位 不道徳な夏 / 乃木坂46
従来のアンダー楽曲と比較すると、作り手の覇気が感じられない。音楽の平板さ、場当たり的なアイデアを金川紗耶、田村真佑など人気メンバーのタレント性で誤魔化している。
107位 夏のせいじゃない / HKT48
書き出しは誘うものがあるが、恋愛と温度のあてこすりに興ざめする。
106位 43年待ちのコロッケ / 日向坂46
2期生楽曲。ベテランメンバーによる恋の繁劇。
105位 ノンアルコール / 櫻坂46
ノンアルコールを青春の似姿に描出するという、発想の微笑ましい詩情を記している。
104位 思い出をゼロにして / NGT48
廃線になったレールを追憶の通い路にしてタイトルへと帰結させていく点は舌を巻くが、取ってつけた、あからさまな構図にも感じる。たとえば乃木坂46の『歩道橋』と似たような問題を抱えている。「歩道橋」や「レール」が、あくまでも詩のシンボルであることは理解するが、どうしても、具体的な目的をもって歩道橋や廃線になったレールを目指しているようにしか見えないのだ。それはやはり、ほんとうに人は「歩道橋」や「レール」を前にしてこうした思料をいだくものだろうか、という疑問を拭えないからだろう。現実では起こり得ない偶会の光景を、しかし現実に起こり得るものとして描き出すことが作家の使命・力量ではないか。
103位 鬼ごっこ / STU48
アイドルが歌う音楽にしては、時間を巻き戻しすぎている。もちろんこうした、「ジャンル」を拉げてしまう点に秋元康の個性があるのだろうけれど、この作品では魅力に還元できていない。
102位 Buddies(English Version) / 櫻坂46
グループのトレードマークを英語で歌った。度胸は買うが……。
101位 上方ストロングスタイル / NMB48
どこかで聞いたような言葉を羅列しただけの歌詞はさておき、音楽にはそれなりに凹凸がある。
グループアイドルソングランキング 100位~91位
100位 隣の人は? / SKE48
くだくだしい社会への反動を並べる。『誰かの耳』と比べると、あまり毒をふくんでいない。
99位 キスのシルエット / 乃木坂46
ダンスナンバーだけあって踊りに個性をもつメンバーが集められた。踊りを自己言及の近道にしようとする作り手の意気込みは大したものだ。だが、アイドルはいたって他人行儀。
98位 愛はこっちのものだ 2025 / 日向坂46
同名楽曲の現メンバー・バージョン。
97位 真夏の大統領 / 櫻坂46
恋愛を「大統領」にこじつける意図が定かでないが、当代的ではある。
96位 Instead of you / 日向坂46
佐々木久美、佐々木美玲、高瀬愛奈の実質の卒業ソング。「アイドル」への感謝と献身を綴る。
95位 意思の大木 / AKB48
AKB的な”ひねり”を加えた応援ソング。内容的に、タイトルとつりあっていない。
94位 青空ディスコティック / 僕が見たかった青空
グループのスクール・カラーを忘れていない点は好印象。しかし「ディスコ」をレトロブームとしてのみ捉えているせいか、歌詞が全編にわたって古臭い。言葉の時代までも飛び越える必要はないはずだ。
93位 行かないで / 櫻坂46
小池美波の実質の卒業ソング。題材を考えれば仕方のないことだが、アイドルの本領が発揮されていない。
92位 港区パセリ / 櫻坂46
タイトルからして「考察」に没頭するアイドルファンの欲望を誘い満たす楽曲となっている。でも、それだけ。たとえば『ビリヤニ』のような、音楽に突き出された投げやりな言葉が一つもない。意味を考えることの楽しさ、興奮はあるのかもしれないが、その興奮は音楽的な楽しさとして維持されるものではない。
91位 雨のノック / STU48
『地平線を見ているか?』に準ずる作風を提示する。やや叙情にしつこい。
グループアイドルソングランキング 90位~81位
90位 ピッカーン! / 櫻坂46
テレビアニメ『ポケットモンスター』エンディングテーマ。松田里奈、森田ひかるを起用した。
89位 ライバル多すぎ問題 / 日向坂46
タイトルを決める際にネットスラングに歩み寄ろうとする作詞家のユーモアの有りようが、むしろ音楽と若者の距離を遠く離している。それとも作詞家にとっての若者とは40代50代の人間をさすのだろうか……。
88位 やるしかないじゃん / 櫻坂46
「やるしかないじゃん」と歌うが、辛抱づよく最後まで聴いても、気分が一向に晴れない。
87位 Oh my pumpkin! / AKB48
AKB48の20周年記念シングルの表題曲。前田敦子、大島優子から指原莉乃まで、黄金期の人気メンバーが再集結した。――秋元康自身、インタビューで公言しているが――楽曲そのものは、過去のAKBファンに向けた、ほとんどファンサービスの域を出ない作風を構えている。言葉を継ぎ接ぎしただけの歌詞には生彩がなく、音楽の自立を適えないが、過去の栄光のメンバーにつられるように再びAKBの世界に歩み寄ってきた大衆の一時的な関心を現役のメンバーたちがどう活かすのか、作風が試金石になっている点は非常に興味深い。
86位 雨が上がるその瞬間 / HKT48
タイトルに期待するような風情は出ていない。あらかじめ答えが出ているものにたいして、感情の道筋をあれこれ変えただけの物語を読み聞かされているような空虚な気持ちになる。
85位 心よ 声を上げろ! / SKE48
映像作品におけるアイデアの使い回し、アイドルの演劇力の乏しさなど、欠点が目につく作品ではあるが、ステージ上の立ち居振る舞いは上々で、河村優愛など、シーンの流行に立った個性的なアイドルも発見できる。
84位 あの船長を選んだのは俺たちじゃない / NMB48
若者の政治への無関心に活を入れる。無関心に支えられたもののひとつに「アイドル」があるという点が教訓的。タイトルに想像を膨らませてしまうと、やや肩透かしを食う。
83位 残り時間 / 僕が見たかった青空
表題作『視線のラブレター』を噛み砕いたような楽曲。同じダンスナンバーとして見ると数段劣る。
82位 臆病なカラス / 僕が見たかった青空
ひとかどのアイドルになろうとする少女たちの決然とした態度、世相を睨みつける表情がグループの持ち味として音楽に結構しているが、いまいち盛り上がらない。若者の感情をあらわす際に、作詞家自身、無垢であろうとする姿勢が、言葉と、それを演じるアイドルの表現のすべてを無傷なものに仕上げてしまっている。
81位 塩味のキス / HKT48
書き出しから結びまで、すべてが説明的で辟易する。音楽的な希求はそれなりにあるのだが。
グループアイドルソングランキング 80位~71位
80位 タイムマシン不要論 / AKB48
タイトルどおり、タイムマシンについてあれこれと歌う。前田敦子の『タイムマシンなんていらない』と比べると、歌詞の大部分が「過去」を向いており、ふくよかな詩情に負ける。時間の枠に囚われていて、伸び伸びとしない。
79位 恋愛無双 / 櫻坂46
ありふれた励ましの言葉の裏に作詞家の個人的な成功譚を箇条書きしている点が心強い。
78位 How did you know? / SKE48
音楽的な切れ味が、音楽的な感興へとつながっていない。詩的表現にひらけている点は面目躍如といったところか。
77位 セシル / AKB48
AI秋元康企画において対AI用に秋元康が詞をつけた楽曲。ファン投票の結果、AIが作詞した『思い出スクロール』に敗れた。たしかに音楽の盛り上がりには劣るが、歌詞に限って云えば、こちらのほうが格段に優れている。当たり前ではなかったものが、しかしあたりまえになっていく時代の情趣を若者の等身大に柔軟に落としている。
76位 偶然ルーレット / 僕が見たかった青空
片想いの女性とバスで乗り合わせるというシチュエーション、日常場面における恋の機微を見逃さないその注意力の高さ、バスが来る前と、バスに乗り込んでからの登場人物の視点の動きなど、作詞家の散文的な趣向をかいま見る楽曲だが、歌詞の世界を表面的になぞっただけのボーカル表現に憤慨する。
75位 ULTRAVIOLET / 櫻坂46
タイトルから歌詞まで、呆れ返るほどに直線的で、言葉の二面性を詩情に昇華できていない。アイドルのパフォーマンスは良好で、試行錯誤のあとが見て取れる。
74位 100日目 / 乃木坂46
与田祐希の卒業ソング。アイドルの正真の姿を映そうと試みている。
73位 思い出スクロール / AKB48
「秋元康」を学習したAIに作詞を任せた。歌唱メンバーもAIが独自に選出したという。センターには伊藤百花が選ばれた。楽曲そのものは、伊藤百花のパフォーマンスに応えるだけのクオリティを実現している。歌詞に注目すると、落胆する。あまりにも幼児的で、まともな大人であれば失笑を禁じ得ないだろう。作家であれば当然にそなえるべき恥じらいの機微、情操らしきものを、技術的に再現できていない。言葉・詩の構成も破綻している。
72位 晴れ渡る / AKB48
研究生楽曲にしては荒削りな部分が少なく、コンパクトに仕上がっているが、それだけに淡泊にも感じる。演者もまた、音楽のデフォルメに無関心らしく、一本調子で、小さくまとまっている。
71位 Speak honestly / SKE48
恋愛の不時をまっすぐに歌っている。
グループアイドルソングランキング 70位~61位
70位 夜空で一番輝いてる星の名前を僕は知らない / 櫻坂46
言葉の選びかた、視点の持ちかたにしても無垢ではあるのだけれど、それを逃れがたいもの、だれもが抱いてしまう感情の場として広げきれていない。青春の無明として見れば、詩的なタイトルに尽くしている。
69位 あの娘にグイグイ / 日向坂46
『SUZUKA』と比べれば、こちらのほうが数段アイドルの味が出ている。アイドルが音楽を上手に加速している。
68位 木枯らしは泣かない / 櫻坂46
谷口愛季をアンダーに抜擢するという倒錯を用いたわりには、楽曲、映像作品のいずれも平凡な出来栄えで、入念に企図された作品にはとても見えない。乃木坂46の『車道側』と見比べると、プリミティブな憧憬に疎か。
67位 青春の旅人よ / 僕が見たかった青空
雲組楽曲。青春を自由という言葉の意味に包括させた訓示的な歌詞が、音楽に独特なリズムを生んでいる。センターで踊る少女のリズムもまた独特で、前例のない、個性にあふれたものだ。
66位 懐かしさの先 / 乃木坂46
「アイドル」と「アイドルを演じる少女」の密度を与田祐希のメモワールとして表現する。アイドルの表情がくすみきっている点、またそれを隠す気もないという点が、いかにも今日的なアイドル像を画している。
65位 君のことを想いながら / 櫻坂46
今作では「ポケベル」や「スマホ」といった時代の工具を用いることなく、ロマンチックに恋を詠み上げる。その点で、開放的である。情緒なだらかな詩的世界に浸透しようとするアイドルたちの歌声もなかなかのものだし、そうして立ち現れた世界をとおして見るアイドルたちの表情、たとえば小島凪紗の表情は、これまでになく晴れている。
64位 未来図 / NMB48
秋元康が作詞から降りるという事態に向けた不安が、今作品では具体的なかたちをとって現れている。社会通念上の言葉を作業的に組み立てるだけでは、音楽に詩情・私情など宿るはずもない。
63位 市営ダンスホール / 乃木坂46
6期生楽曲。ダンスナンバーにチャレンジした。メンバーのそれぞれが長所と短所を明確にしている。
62位 虹を架けよう / 僕が見たかった青空
年少メンバーのふたりを先頭に配した、ダブルセンター作品。「君」のために雨空を晴らそうとする恋愛の距離感、助力のありかたが、好適にアイドルへと引用されている。
61位 やらかした / 日向坂46
「恋愛」は先に告白したほうが勝つのだと意気込む若者の脈動を掘り当てる手腕は、見事としか言いようがない。
グループアイドルソングランキング 60位~51位
60位 Make or Break / 櫻坂46
恋の衝動というけして抗えないものに抵抗しようとしてしまう恋愛の生きた感情を歌う。2025年の「秋元康」の詩作過程と櫻坂46の既存の作風が合致した瞬間と云えるかもしれない。気になるのは、新たなセンターを抜擢したにもかかわらず、アイドルのパフォーマンスにこれといって斬新な部分が出ていない点だ。その意味では、タイトルから映像作品まで、かなり皮肉の調子を帯びている。新星のアイドルが、なにひとつ既存の枠を壊せていないからだ。
59位 青空が見えるまで / 櫻坂46
「青空」の系譜に入る一曲。タイトルにつなぐ言葉を音楽からしっかりと手繰り寄せ、吸収している。
58位 タイムリミット片想い / 乃木坂46
6期生のデビュー楽曲。雪明の景色をあたらしいアイドルの気配として描き出している。おなじ着想点に立った『視線のラブレター』と比べると、音楽の高揚、抑揚のどちらも物足りない。
57位 あの頃におかえり / 乃木坂46
過去の中で現在を抱きしめようとする。郷愁と感傷を表裏一体にする無意識の露呈に評価がわかれる。
56位 アイドルだよ、人生は… / AKB48
大衆が考えるアイドルのあられもない姿を筋道立て、ノートにうつし出している。悪ふざけのエスプリにも見えるが、アイドル当人と、またそのファンの心を揺さぶる内幕があるようにも感じる。秋元康が「アイドル」を類型的に語れば語るほど、それだけ多くの少女がその余映に収まるが、そこに奥行きを感じもする。
55位 風車 / NMB48
今回は「風車」を失郷者の心のよすがとして準備した。さすがに「かざぐるま」は現代から距離が遠すぎるように思われるが、音楽に示される郷愁にまったく共感できない点において若者とおなじ目線に立てる。
54位 孤独たちよ / 日向坂46
学生生活における若者の局所的な場面に着眼し、そこで拾う屈託に寄り添う。
53位 ハロウィンのカボチャが割れた 2025 / 日向坂46
同名楽曲を現役メンバーで新録した。一度壊れてしまったものは二度と元にはもどらないのだという恋愛の儚さを、ハロウィンの陽気な気分、スリルと期待感に探る。アイドルの陽気さも磨きかかっている。
52位 This is heaven! / 僕が見たかった青空
八木仁愛のソロ。八木の積み上げてきたスタイルを守りつつアイドルのあたらしい一面を押し出している。完成度も高い。音楽におけるその突出した才能は、現役のアイドルとしては無比の立場を誇っている。
51位 あのね そのね / 日向坂46
清水理央のメープルな歌声が、アイドルらしい言葉・音楽のリズムを引き立てる。

