AKB48 田口愛佳 評判記

AKB48

田口愛佳(C)時事通信社

「キャンディッド・アイドル」

田口愛佳、平成15年生、AKB48の第十六期生。
16期の中では、山内瑞葵とならび、頭角を現すことに成功した数少ないメンバーということになるだろうか。メディアに取り上げられる機会も、同期のなかではかなり恵まれている。云うべきことがあれば場を問わず云う、秘めるべき感情は臆せず胸に秘める、その度胸を横山由依に早くから高く買われ、将来を期待されてきた。チームKのキャプテンを経て、グループの総監督の座につくという機運を日々たかめてきた。
たしかに、自分が見たもの、経験し得た感情をごまかさない、曲がらない、一本芯の通ったアイドルに見える。いかなる状況においても、まずメンバーの味方に立とうとする果敢さは、横山由依とよく似ている。けれど、そうした姿勢のすべてが、ただ単に、自意識を甘やかした人間の虚勢であるように見えなくもない。なぜならそうした姿が一向に魅力ある音楽作品として結実せず、あくまでもキャラクターにとどまっているからだ。歌、ダンスのいずれも、その能力の高さは自他ともに認めるものであるようだが、その前評判は未だ作品として姿を現さない。
インタビューなどで提示される言葉を読むに、アイドル活動をとおして得た感情を吐露する際には、迫真的で慇懃なところがあり、成熟して見えるが、アイドル活動への実際的な展望を語る段になると、途端に言葉づかいや物事の捉え方が幼稚になる。こうした、ジャンルとしての可能性の枠組み、アイドル的にしか物事を発想しえない常識に無意識に囚われている姿が、この人の才能の大きさを直接反映しているように思えてならない。『久しぶりのリップグロス』で選抜メンバーから外れた際には、将来性の豊かな少女をなぜ桧舞台から降ろすのかと私は思わず首を傾げたものだが、存外、作り手の眼力、先見の明は正しかったということなのだろうか。

 

総合評価 55点

問題なくアイドルと呼べる人物

(評価内訳)

ビジュアル 10点 ライブ表現 12点

演劇表現 9点 バラエティ 13点

情動感染 11点

AKB48 活動期間 2016年~