日向坂46(けやき坂46) 柿崎芽実 評判記
「バストアウト」
柿崎芽実、平成13年生、けやき坂46(日向坂46)の第一期生。けやき坂46名義の初オリジナル楽曲においてセンターを務める(長濱ねるとのダブルセンター)。
現在考え得るアイドルのなかでは特にみめかたちの優れたアイドルであり、キュート、この形容辞を用いるならば、平成と令和の境界線を踏み越えたすべてのアイドルのなかで最高到達点と云えるのではないか。瑞々しく、雄々しく、澄んだ可憐さ、減退することのない初々しさをそなえた少女で、けやき坂46の初オリジナル楽曲のセンターとして、彼女を長濱ねるの隣りに立たせた作り手はもちろん、それを眺めるファンもまた、そのビジュアルを前に、大きな期待感を寄せ、その未来像の輝かしさに興奮した。
しかるに、けやき坂46の独立と、日向坂46の誕生を機に、柿崎芽実をセンターに配した楽曲群がシーンを席巻するどころか、表題作のセンターに一度も立つことなく、最年少の身でありながら誰よりも早くグループの物語から去って行ってしまった。希望が、夢が、バストアウトしてしまった。
唐突にアイドルから告げられた卒業の二文字、別れの言葉に対し、ファンが尽きることのない喪失感を抱いてやまないという意味では、小畑優奈に比肩する情動を印している。自己の内に秘められた可能性が無限大であることを確信する少女の衝動の結実を描いた小畑に対して、柿崎はアイドルとグループにかかわるノスタルジーの問題と、生きることがアイドルを演じることを勝ってしまった少女の泡沫を打ち出している。
総合評価 72点
アイドルとして豊穣な物語を提供できる人物
(評価内訳)
ビジュアル 16点 ライブ表現 14点
演劇表現 13点 バラエティ 14点
情動感染 15点
けやき坂46 活動期間 2016年~2019年