日向坂46 藤嶌果歩 評判記

日向坂46(けやき坂46)

藤嶌果歩(C)音楽ナタリー

「ヴィンテージ・アイドル」

藤嶌果歩、平成18年生、日向坂46の第四期生であり、8代目センター。
「王道のアイドル」「活力のアイドル」という称賛に溺れることなく、そのヴィンテージの魅力をシーンに再生させたという意味では、大島優子、渡辺麻友に次ぐ存在と言えるかもしれない。
王道は、誰でも立てる。だが、そこを歩き続けられる者は限られている。流行や奇策ではなく、反復と持続に耐えた、古いだけではない、時間の中で価値を落とさなかったもの、むしろ時間によってその価値が証明されるもの。こうした射程の長い憧憬を、藤嶌果歩は「笑顔」をもって正面から引き受けている。
笑顔は、文化・世代・知識の前提を問わない、唯一の感情表現と言えるだろう。ゆえに笑顔に魅力のあるアイドルは、王道のアイドルと呼ばれやすい。誰が見ても、笑顔に魅力が一致するからである。勘違いしてはならないが、王道に立つというのは、天性の佇まいを意味するのではない。王道というのは努力や誠実さ、高い精神性の結果として現れる志の一部にすぎない。それにもかかわらず、現在のアイドルシーンにおいては、王道のアイドルは、イコール、天性のアイドルだと見なされ、称賛されるのである。こうした矛盾を前にして、それに甘えることなく、それを突き詰めていこうとする姿勢に、藤嶌果歩というアイドルのセンス、個性、つまり王道がある。
そのセンスは、ライブステージにおいて、最も鮮明に姿を現す。
カメラにいつ抜かれるかを熟知したうえで作られる表情と、いつ抜かれても構わないという覚悟のもとで保たれる表情とでは――捉えられた瞬間、その質が決定的に異なる。そのどちらにも魅力があり、どちらにも才能が求められるが、藤嶌が真に輝くのは、明らかに後者の瞬間である。その一瞬の笑顔、様々な表情に、才能を認めるべきではないか。音楽を小刻みに誇張していく彼女の踊りは、ステージの重心を静かに引き寄せる。

 

総合評価 69点

アイドルとして活力を与える人物

(評価内訳)

ビジュアル 15点 ライブ表現 15点

演劇表現 11点 バラエティ 14点

情動感染 14点

日向坂46 活動期間 2022年~