AKB48 菊地彩香 評判記

AKB48

菊地彩香(C)オリコンニュース

「鏡の中のジャンヌ・ダルク」

菊地彩香、平成5年生、AKB48の第三期生(後に菊地あやか名義で第七期生として再デビューする)。
渡辺麻友、柏木由紀に並ぶ次世代のホープとして期待された。けれど、どうだろうか、向上心やスピリットに長けた両者を前にすれば、いずれも小ぶりで、魅力に乏しい。光るものがないわけではないが、一時的にせよ、渡辺等に比肩するメンバーだと歓呼されていたことは、訝しく思わざるをえない。恋愛スキャンダルにともなう騒動劇、グループから解雇された直後に7期生として再デビューするという、不屈のストーリーが起こされたことも、菊地彩香にたいする作り手たちの期待感の現れだと思うが、しかしあまりにも教養がなく、正直、茶番劇にしか見えない。
アイドルを演じる少女だけでなく、アイドルを囲む作り手たちもまた夢の熱に浮かされ、アイドルに自己を投影し、その行く末を見守る光景は、たしかに当時は目新しかったのだろうけれど、現在の令和のシーンにおいて、そうしたラコントに今もなお輝き続ける箇所があるのかと言えば、一つもないように思われる。

アイドルとしての失敗を人生の失敗と捉え、その挫折を懸命に乗り越えようとする、アイドルに羽ばたこうとする菊地の横顔も、恋愛スキャンダルという騒擾のなかで浮かび上がったメソッドにすぎない。
仮に、渡辺麻友、柏木由紀に比肩する資質があるとすれば、それはダンスになるだろうか。遠くを見つめ、音楽に自己を委ねていく姿は、控えめであり、また万能感に満ちていて、引かれるものがあった。

 

総合評価 58点

問題なくアイドルと呼べる人物

(評価内訳)

ビジュアル 12点 ライブ表現 13点

演劇表現 10点 バラエティ 12点

情動感染 11点

AKB48 活動期間 2006年~2008年
AKB48 活動期間 2008年~2014年