僕が見たかった青空 柳堀花怜 評判記

「猪突猛進・アイドル」
柳堀花怜、平成17年生、僕が見たかった青空の第一期生であり、初代副リーダー。
言葉どおり「活力」のアイドルと呼ぶべきだろうか。向こう見ずで、わき目もふらず自己の理想に突き進む姿は、かつての生田絵梨花を彷彿させるものだ。その点で、他人よりも自分を信じて生きる人に見える。「自分」というものをしっかりと持っているから、他人の言葉が正しいかどうか、判断できる。同業者からどのような指摘を受けようとも、正しくない意見は、笑顔を見せつつ、回避する、晴ればれとした心をもっている。他人から見た短所が、まぎれもない個性であり、つまり長所であり得るという逆転を、アイドルを演じるという行為によって引き起こすことで、「アイドル」の価値、「アイドル」の備えもつ力を知らしめている点は、かなり頼もしい。
その頼もしさが、つまり自己中心的である姿が、ある種のユーモアとなって求心力に取って代わる点も、生田絵梨花によく似ている。たとえば、メンバーの卒業という出来事に直面した際に、涙をこらえ健気に笑顔を振る舞う他のアイドルたちをよそに、柳堀花怜は、大粒の涙を落とし、泣きじゃくる。そのすがたがどこか可笑しくて、少女たちはつられるように笑い合い、涙をこらえる理由をも失い、もらい涙のかたちで本音の涙を次々とこぼしていくという、なんとも無垢で、情動の深い光景を柳堀はグループの物語に広げている。
当然、表題作のセンターを期待できるメンバーだが、そのアイドルとしての可能性、その資質の落とし所として副リーダーのポジションを与えられたように見える点は、やや悔やまれる。こうした風潮は、どうにかならないものだろうか。柳堀が、こうした風潮をくつがえす存在になってくれるだろうか。
総合評価 69点
アイドルとして活力を与える人物
(評価内訳)
ビジュアル 15点 ライブ表現 13点
演劇表現 13点 バラエティ 13点
情動感染 15点
僕が見たかった青空 活動期間 2023年~


