乃木坂46 衛藤美彩 評判記
「重心の低い野心と虚栄心」
衛藤美彩、平成5年生、乃木坂46の第一期生。
佇まいに迫力がある。いわゆる”御三家”と対をなす、乃木坂46の主要登場人物。身内に宿した欲、とりわけ野心と虚栄心を誤魔化さないその姿勢は、序列闘争の場における刺激剤となって、乃木坂の人間喜劇の完成に寄与した。名は体を表す、と云うが、その言葉どおり、彼女は乃木坂の群像にあざやかな彩りを添えている。
野心とは、何かをやりとげる強い意志を指し、虚栄心とは、大衆に歓呼されたいと願うことだと云ったのは塩野七生だが、衛藤美彩は、この「野心」と「虚栄心」の重心を低く保った、バランス感覚に優れたアイドルである。それはたとえば、渡辺美優紀、須田亜香里、秋元真夏など、いわゆる”握手の上手”とされるトップアイドルたちに匹敵する仮想恋愛空間の構築に役立てられている。そのスタイルは、仮想であることを明示しつつ、しかしリアリティの喪失感を極限まで抑えるという、ファンと独特の間合いを保った虚構恋愛に明かされる。またそのバランス感覚は、ルールを守らないファンに対して場を問わず戒めるなど、正義感にあふれる人へと彼女を成長させてもいる。
アンダーから這い上がり成り上がった人でもある。向上心に言い訳しないそのサクセスストーリーは、現役時代、卒業後問わず、後続の多くのアイドルから羨望の眼差しを向けられている。
総合評価 70点
アイドルとして豊穣な物語を提供できる人物
（評価内訳）
ビジュアル 14点 ライブ表現 14点
演劇表現 14点 バラエティ 14点
情動感染 14点
乃木坂46 活動期間 2011年～2019年
