日向坂46 石塚瑶季 評判記

「笑顔をアイドルのスローガンにする」
石塚瑶季、平成16年生、日向坂46の第四期生。
こういう人を勤勉家と言うのだろうか。ダンスにしても演技にしても、自己を省みて、とりわけ笑顔を道具立てにしてアイドルのスローガンにするという生真面目な姿勢が、表現力の安定感に結ばれている。「笑顔」を作ることで違う自分がそこに現れるという意識において「アイドル」を育む点は規範的としか言いようがない。
「笑顔」への従順さは、どんな場面でも同じ顔をしたアイドルを描き出してしまうという弊害を抱えてもいる。どのような楽曲でも、どのようなステージでも、どのような感情においても最終的には笑顔に帰結しようとする、その志は文句なく勤勉で規範的なものだが、石塚の場合、職業アイドルとしての自負、プライドが高すぎるのだろうか、ファンの声価に対して過敏になるきらいがあり、その点が弱点につながっている。自己評価=ファン評価であるという無意識があるように感じるのだ。その意識が、つまりファンの目線に立ち自己の姿を眺め「アイドル」を考えるというアマチュア意識が、少女から個別性を奪い、笑顔の画一化に拍車をかけているのではないだろうか。
アイドルは、こころの内をひらき、素顔を見せれば見せるほどファンをとりこにするものだが、石塚はその逆で、素顔を見せれば見せるほど、喜怒哀楽を披露すればするほど既知の魅力が遠のいていく。ファン感情に囚われることで、そもそもなぜファンを笑顔にしたいのか、つまりなぜ自分は笑顔を演じているのか、アイドルになる以前の内面的な欲求を欠いてしまって見えることが、その最も強い要因に挙げられるだろう。
総合評価 55点
問題なくアイドルと呼べる人物
(評価内訳)
ビジュアル 9点 ライブ表現 11点
演劇表現 12点 バラエティ 12点
情動感染 11点
日向坂46 活動期間 2022年~


