記事の紹介[乃木坂46・4期生、5期生ランキング編]

「過去の文章に息を吹き込む」
アイドルの値打ちを書いていてあらためて痛感したのは、おなじアイドル・コンテンツを扱った記事でも繰り返し読まれるものとそうではないものが出てくる点です。これにはいくつかの要因が考えられます。ひとつは記事に関連するアイドルの人気・知名度の差、次に記事の質の有無、次に記事の内容が時事的かどうか(時事的な記事は、繰り返し読まれない傾向にある)。大きくわけて、この3点になるかと思います。「アイドルの値打ち」では、繰り返し読まれない記事は容赦なくバックナンバー化し、非公開にします。
アイドルに向けて成長がどうだのと評価するなら、それを評価する人間もまた成長していなければ始まらない、というわけでもないのですが、僕の場合、物書きということになるけれど、過去の自分の文章を見てやりきれなくなる、ほとんど紅潮をおさえられなくなる、ということは、よくある。でも文芸というのは、処女作がいちばん良かったなんて評価が往々にしてありますからね。作家と読者で立場が違い、その立場を作家は考えなければならないということですが、それでも、たとえば文庫本の刊行にあたって文章を大幅に書き直す作家は多いし、大江健三郎なんて全集の発行に際して若手時代の人気作品をラインナップから外したりしています。
それでも、なかには、これをこのまま引き出しの奥に閉まっておくのはもったいない、と感じてしまう記事もあって、折を見ては編集者にどうにかならないものかと相談していました。そこで今回は、過去に特に人気のあった記事を、大幅に編集し、改訂版として有料で公開することにしました。
今回、再公開した記事は、「乃木坂46 4期生 注目度ランキング」「乃木坂46 5期生 注目度ランキング」のふたつになります。再公開にあたり、4期生の記事は、7年近く前の記事ということもあって、まえがきと本文のいずれも大幅に書き直し、5期生の記事は、かなり冗長で、飛躍的で、稚拙な妄想を垂れ流しているだけに見えますが、それでも本文はそのままに、まえがきだけを編集しました。もちろん、ランキング記事なので、記事の内容そのものには一切手を加えていません。当時、アイドルに向け抱いていた自分の感情をそのままにしてあります。
今回の再録にあたって身にしみて想ったのは、日々、雑多な物事に対し、雑多な感情・言葉を書いていくなかで、いかに自分が過去になにを書いたのか、誰に何を言ったのか、ほとんど覚えていないという点、またそれだけに過去の自分の文章を見て、驚くことが多かったという点です。批評家は自分のことを棚に上げられるかどうかが肝心だと言ったのは柄谷行人ですが、いまならその言葉がよく理解できます。
注目度ランキングと書くからには、自分のアイドルにたいする眼力を試しているということになりますが、今、あらためて自分のつくったランキングを眺めてみると、自分にはまったくアイドルを見る目がないんだな、と。5期生では五百城茉央や小川彩、池田瑛紗を完全に見誤っているし、4期生ではなんと田村真佑が11位!今ではとても考えられない順位。4期では僕は賀喜遥香を推していますが、記事を書いた頃はまだ推していませんから、推しではない情況でどう評価をしたのか、という点でもワクワクしました。そして1位に挙げたメンバーを見て、驚いてしまいました。4期デビュー時は、自分はこの少女のことを非常に高く買っていたのだなと、溜息をついてしまった。
でもこうした積み重ねが、アイドル観を養うのだろうし、なによりも、こうした経験そのものが、グループアイドルを眺めることのおもしろさのひとつだと思ってもいます。
2026/01/14 楠木かなえ



