STU48

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「暗闇」

「ローマからアッピア街道を三十キロ南に下ったところにある、ネミ湖」、周辺にはローマ皇帝や貴族の別荘が並ぶ。作詞家・秋元康にとってSTU48とはまさしく”別荘”であり、作詞家が従来の殻を破ろうとしている、これからSTU48という筐体に自己を投影して行くのではないか、とおもわせるような期待に溢れるのは、氏があたらしく構築した虚構(別荘)の中での暮らし、それが倦みを投げつつあるAKBグループにあたらしい局面を作るのではないか、と想像させるからである。

「常に人々の話題の的でありたいという想い」を抱いていた皇帝カリグラはネミ湖に「三段櫓が普通であった時代に十段もの櫓でこぐ大型船を建造させたと」ローマ時代の史家たちは書いている。「帆は陽光の当たり方によって色の変化する絹のあや織りで張られ、船内には浴室もサロンも寝室も完備し、甲板上は回廊造り。緑豊かな樹や果実をたわわにつけた樹が植えられ、その間で宴を愉しむ豪勢さであったという。」この前代未聞の、「気まぐれの産物としか思えない浪費」、「話題以外は何も残らない”バブル”」がSTU48の”出港”にかさねられるのはなんとも皮肉な話であるが、その豪華船の行く末が「沈没」であった点は看過できない”不吉な胎動”と云えるだろう。デビュー楽曲に『暗闇』を置いた行為こそ、”不穏”がさけられない暗示として機能した徴ではないか、とおもう。そのような境遇のなかにあっても青春の犠牲を受け入れる覚悟を示し、闘争を生き抜く、道半ば倒れる同士を振り返らずに光りのある方へ向き直るアイドルたちの物語こそ”豊穣”と呼ぶべきだろうか。(*1)

 

1期生
瀧野由美子 田中皓子 今村美月 岩田陽菜 大谷満理奈 市岡愛弓 藤原あずさ 磯貝花音 石田みなみ 甲斐心愛 門脇実優菜(編集中) 佐野遥 石田千穂

ドラフト3期生
沖侑果 溝口亜以子

引用、出典:(*1) 塩野七生 / ローマ人の物語 「悪名高き皇帝たち」