まえがき

文学とは、「人」のありのままのすがたをうつし出す作業です。
夏目漱石はニートを、大江健三郎は宗教とテロルの緊密を、村上春樹は現代日本人が抱える、空虚さ、無関心さを、その時代が訪れる前から「小説」にしていました。しかし、それは決して予言ではありません。「人間」を探求することが結果として、その対象の行動を、未来を、原稿用紙にうつすことになる。文学小説に描かれた登場人物たち、彼らの言葉や行動は私たちの日常でもある。もちろん、アイドルもそこに含まれる。原稿用紙の上で揺く登場人物たちの科白を引くことによって、少女が演じ作るアイドルの輪郭が描かれる。文学的見地からアイドルを批評することにより、そのアイドルの未来を、希望を顕にすることができるのです。
アイドルの物語に点数を付ける、これは、今日の、アイドルを取り巻くメディア、コラムニストの書く「称賛の壁」に卵を投げつける野蛮な行為だと揶揄されるかもしれない。しかし、アイドルは瑕疵があるからこそ”うつくしい”。そして、この事実を思い出す”きっかけ”にフィクティブな批評がある。
「人間」を提供するアイドルこそ文学として扱われるべきなのです。

何だかわからないけど気にかかる人がいるじゃないか。
で、どうアプローチしていいんだかわからないけど、観察しているとどうにもオモシロイ。立ち居振る舞いとかね、反応とかが、微笑みたくなるように好ましいとかね。…で、そういう人をみつけて、その人の値打ちというかな、面白いところを見つけて、好きになるっていうのはとても大事なことなんだよ。ホレるっていうことは。 その人が好きでも、何も得をするわけじゃないし、あるいは濃くつきあうワケでもない。だけどタマに一言二言話したり、その人間の立ち居振る舞いを眺めて喜んでいる、みたいなことがね。それで、じっくりと観察して、いろいろなことを理解しようと務める。…結局値打ちってそういうもんだと思うんだよね。銭金とか損得とかとは別な、興味を人生にいだけるか、と。

福田和也「乃木坂血風録」

2018.08.08 楠木融

評価について

ロバート・M・パーカーの「ボルドー」のパーカーシステムを小説に適用した福田和也の「作家の値打ち」の採点基準方式を模倣し、アイドルを採点します。

点数の基準は以下のようにしました

 

アイドル

90点以上 アイドル史に銘記されるべき人物

80点以上 現代アイドル史に名を残す人物

70点以上 アイドルとして豊穣な物語を提供できる人物

60点以上 アイドルとして活力を与える人物

50点以上 問題なくアイドルと呼べる人物

40点以上 辛うじてアイドルになっている人物

39点以下 アイドルの水準に達していない人物

29点以下 推していることを秘密にしたほうが良い人物

楽曲

90点以上 アイドル史に銘記されるべき作品

80点以上 現代アイドル史に名を残す作品

70点以上 現在のアイドル楽曲として優れた作品

60点以上 再聴に値する作品

50点以上 聴く価値がある作品

40点以上 何とか歌になっている作品

39点以下 人に聴かせる水準に達していない作品

29点以下 聴いていることは秘密にした方がいい作品

アイドル 一覧 楽曲 一覧
評価点数一覧(アイドル) 評価点数 一覧(楽曲)

評価の内訳は5項目 各20点満点とする

9~11点 平均的 全体の38%がここに入る
12~13点 良い 全体の18%
14点 トップクラスと評価 全体の5%
15点 その分野で話題になることが多い 全体の3%
16点 常に話題の中心にあり、アイドルのアイデンティティにすらされる 全体の1.8%
17~19点 冠絶(かんぜつ)と評価できる
20点 900名以上のアイドルの中から1~2名を選出

ビジュアル
あらゆる場面で視覚に訴えるビジュアルはアイドルにとって最重要視される資質です。ビジュアルはファン獲得の入り口であり、キャラクターの発見や物語の構築に役立ちます。もちろん、ルックスの”輝き”だけではなく、内側から滲み出るフィロソフィーと、全身に降りかかるグループアイドルとしてのイデオロギーも評価します。

ライブ表現
ゲーム理論の終着として当然の成り行きですが、現代アイドルに対する歌唱力とダンススキルへの期待と需要は高くありません。ファンがライブ空間で求めるモノは”テクニック”ではないと考え「ライブ表現」としました。もちろん、技術に裏打ちされた表現行為に到達しているアイドルには高評価を付けますが、技術が未熟でも、日常の邂逅と再現性、あるいは日常との乖離など、完全さよりも輝く”不完全さ”があれば、それを評価します。

演劇表現
主に、舞台演技、映像作品における表現力の評価です。アイドルという虚構の中での立ち居振る舞い(ドラマツルギー)も評価範疇とします。

バラエティ
所謂、ストーリー性の把持に帰結するのが多様性であり、笑い、ウィットという視点だけではなく、人間として、またはアイドルとしてのユーモア、喜怒哀楽を評価します。多様性の発揮。哭き、嗤い、叫ぶ。強靭さや傷つきやすさの露呈。そのような姿を、醜態を、ファンに提出できているかどうかを評価基準にします。

情動感染
アイドルを評価する際にどうしてもジャンル分け、数値化が難しい場面にぶつかります。歌や演技、ビジュアルの点数だけでは表せない魅力、ユニークがあるからです。それは何か、と考えた時に、ファンである私達の情動を引き起こす日常の立ち居振る舞い、仕草なのだろうと考えました。まず、アイドル自身がアイドルという虚構の中でどのようにして自身の情動を引き起こせるのか、そして、その立ち居振る舞いによって、外側にいるわたしたちの心をどれだけ揺さぶるのか、どれだけ情動が感染するのか、この点を評価基準にします。